エリザベス アーデン フィフス アベニューは、知的に完成された隠れた名品

緑茶の香りの「グリーンティー」で有名なエリザベス・アーデン。ほんわかとした癒し系フレグランスのイメージが強いブランドの隠れた名品「フィフス アベニュー」は、富と権力の象徴であるN.Y5番街で、夢を現実にするために生きる女性をイメージした力強い香り。

柔らかなフローラルにスパイスが混じり、ストイックさと芯の強さが表現されている知的な印象のフレグランスです。

「香りを纏う」という喜びを教えてくれる一品をご紹介します^^


entry_img_18
エリザベスアーデン フィフスアベニュー
香調:フローラル <レディース>

トップノート「フレッシュな柑橘類の香りに活気付けられた、瑞々しい花の香り」

華やかで品のあるマグノリア(木蓮)にハーバルな青さをもつリンデン(菩提樹の花)がやわらかく広がり、フレッシュなマンダリンオレンジとベルガモットのシトラス感が酸味を添える。そこに涼やかなライラック(紫丁香花)とリリー・オブ・ザ・ヴァレイ(スズラン)の控えめな甘さが加わり、全体をすっきりと整えます。

*さっぱりと上品なフローラル。柑橘類のシトラス感とリンデン&ライラックが効いているのか、全体のトーンがぐっと抑えられていて、華やかなんだけれど爽やかな、朝露のようなトップノートです^^

ミドルノート「複雑でストイック。センシュアルさをスパイスのヴェールで包んだ、知的な香り」

まろやかなほろ苦さをもつクローブが骨組みをつくり、魅惑的なカーネーションと複雑でエキゾチックなインディアンチュベローズ(月下香)、静けさを感じさせるバイオレット(ニオイスミレ)が繊細なハーモニーを奏でる。そして、そこに絡む官能的なジャスミンとイランイランにピーチが瑞々しさを添え、ふわりと裾野をひろげるようにブルガリアンローズが香ります。

*複雑な香りをクローブのスパイシーさがぐっと引き締めて、ストイックなフローラルが出来上がっています。やわらかなフローラルは絶妙なバランスで派手さをおさえていて、凛としていて知的な印象です^^

ラストノート「まろやかな優しさが安心感を与えてくれる、フェミニンの良いところを集めた香り」

スパイシーな甘みを持つクローブとシャープな青臭さをもつアイリスを、濃厚なアンバーとサンダルウッドがオリエンタルな甘さで支えます。そこに華やかなバニラが優しい甘さを添え、ムスクのパウダリー感が奥行きを与えます。

*スパイスの角がほろっと取れていくような香り立ち。アイリスの奏でるシャープさを、ミックスされた濃厚甘い系の香りがふんわりと広げていくような感じで、甘すぎない優しさが深い安心感を与えてくれる香りです。

ミドルノートからこのラストノートにうつるときの、スパイシーさがとろんと丸くなっていく感じがとてもドラマチックです!肌の上で柔らかくなっていく香りに、心も一緒に柔らかくなっていくような心地がします^^

こんな方におすすめ&香りについて

* 複雑で繊細な香りが好き
* すっきりとしたフローラルの香りを探している
* 甘すぎない優しい香りが好き
* ストイックで知的な香りを求めている
* スパイスがほろっと丸くなる感覚を味わってみたい

「派手さのない落ち着いたフローラルです」と言うとつまんない香水のようですが、定番フローラルだからこそ大切な「バランス」感がとても素晴らしい一品です。

また、どこまでもストイックに抑えられた華やかさが、深い安堵感をもたらしてくれるような優しい香りです。甘さ全開だったり妖艶だったりするものよりも、このほっとする安心感がある意味とても「女性らしい」、もっと言えば「フェミニン」の良い部分を集めたような感じだと私は思います。

定番フローラルは流行った分だけ「クラシカル」などと言われたりしますが、香水の基本「フローラル」を丁寧に品よくまとめた香りは決して「古い」の一言では片付けられません。

ちょっと思い出語り

私は香水を、その日の予定やその日のイメージから選ぶことが好きです。なのでこの香水は気を張ってがんばろうというような、緊張する日やストイックな気分の時によく手が伸びるのですが、以前ふと、何だか疲れたような擦れたような気分の時につけてみたのです。

どこかノスタルジックなボトルと通りの名がつけられた都会のイメージが、気分にぴったりな気がして。シュッとつけた瞬間、スパイシーな柑橘系のような香りがたちました。それからが感動した点。時間が経ってミドルへとうつってふと気付くと、スパイシーさの中のまろやかな女性らしい優しい匂いに、何だかとても癒されていたのです。

こういう香りの変化に思いがけず癒されたのは初めてだったので、驚きました。体臭とのなじみもいいのか、本当、安心するような女の匂いがしてました。自分から。笑。スパイシーさが丸くなる、その後も決して甘やかという感じではないのですが、なんとも香水ってよりも自分の体臭が香るような、不思議な感覚がしました。

超日本人なので体臭はほとんど感じたことがなく、なのでちょっとだけくすぐったいような気もしました。それくらい、よく馴染みます。トップの系統としてはエンヴィにも似たすっきり爽やかな知的な香りですが、ミドルからラストにかけてはなんとも切なく、気だるく香ります。

香りというのは本当に不思議なもので、この日の「癒された感覚」をこの香水を見るたび昨日のことのように思い出します。初めてフレグランスが自分に馴染んでくれたかのような不思議な心地を、今でも大切にしています。

香りの成分&いろいろ

<トップノート> マグノリア, リンデン, マンダリンオレンジ, ライラック, リリー・オブ・ザ・ヴァレイ, ベルガモット
<ミドルノート> ナツメグ, カーネーション, インディアンチュベローズ, バイオレット, ピーチ, ジャスミン, イランイラン, ブルガリアンローズ
<ラストノート> クローブ, アイリス, アンバー, サンダルウッド, バニラ, ムスク

1996年発表, 調香師 Ann Gotlieb
* Elizabeth Arden 5th Avenue *

[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

     

フォローお願いします!

コメント

  1. 茉莉花 より:

    エリザベスアーデン、フィフスアベニューはありませんけど、それよりも古い時代に作られた、『ブルーグラス』を持っています。
    1934年に、エリザベスアーデンのファーストフレグランスとして誕生した香水で、1度廃番になったものの、1989年に再販。
    1934年に誕生して以来、香水上級者の間で長く愛され続けている名香です。
    トップは、アルデハイド、オレンジブロッサム、ラヴェンダー、ネロリ、ベルガモット、リリー、ゼラニウム。
    ミドルは、スパイス、カーネーション、チュベローズ、ジャスミン、ローズ、ナルシス、クローヴ、ベイリーフ。
    ラストは、サンダルウッド、トンカビーン、ムスク、ベンゾイン、ヴェティヴァー、シダーウッドで構成。
    ニナリッチのレールデュタンに近い味わいがあり、レールデュタンに少しだけ薬っぽさを加えた香り。
    大変清楚な香りですので、上品で清楚な印象を与えたい時には、良いと思います(^^)
    香水上級者なら、一つは持っておいた方が良い香水です(^^)

  2. リリー より:

    エリザベスアーデンはかなり好きなのですが、『ブルーグラス』はチェックしていませんでした。
    魅力的な香りを教えてくださり、ありがとうございます(*´▽`*)
    スパイシーで複雑な香りが大好きなので、お気に入りになりそうです。
    最近のシンプルな香水もそれはそれで好きですが、ふと嗅ぐレールデュタンやエリザベスアーデンなどのフローラルは本当に美しくて、こういった香りも今後また何かしら(マーケティング的な意味で)発展していってくれればいいのになあ、とよく思います。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください