ロリータ レンピカ 森の妖精が邪悪に誘う、リコリス香るおとぎの国

リコリスを基調としたほろ苦さが病みつきになる、黄昏どきに甘く揺らめく、深い森に迷い込むようなフレグランス。

香水界のゴールデングローブ賞、「FIFI賞」を二年連続で受賞した優秀フレグランス、「ロリータレンピカ」は、根強い人気をもつ甘く幻想的な香りです。

可愛いリンゴ型に浮かぶ、ミステリアスなライラック色の煌き。金色のツタが秘める輝きと、ロリータレンピカの描く「現代のおとぎの国」の世界とは…?

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ロリータ レンピカ
香調:フローラル・フルーティー・グルマン <レディース>

トップノート「ほろ苦い香りから始まる、ロリータレンピカの邪悪なおとぎの世界」

土臭さの残るヴァイオレットの、パウダリーなフローラル感が伸びやかに広がり、日差しを受けたアイビーがスパイシーなグリーン感で涼やかさを添えます。そこにスターアニス(八角フェンネル)の、捻れたような苦味のある甘さが鼻にスッと抜けていきます。

*ヨーロッパのお菓子でよく使用されている「スターアニス」は、苦さと枯葉のような香りが切ない感覚を呼び起こす、エモーショナルなハーブ。乾燥した空気の中にスラッと立ち上がる、ノスタルジックな表情が魅力です。

遊び疲れた子供が家へと帰る時刻。
昼間は日差しで温められていた空気が、沈みゆく太陽に伴ない、じわじわと冷えていく。

暗く、朧に崩れていく視界を覆うように霧が発生し、ザワザワと、森が、大地が呼吸をはじめる。
まるで異次元への扉が開くかのような、妖しい黄昏時――。

濃密なパウダリー感に絡むハーバルな甘苦さが、不思議な温度感を作り上げたトップノート。
手作りのクッキーを思い起こさせるアニスの愛くるしい香りに、アイビーのキン、とした硬質なグリーン感が、少しの不安と緊張、現実感を混ぜ込んだ、チリチリと産毛が逆立つような香りです。

甘い香りに誘われるまま「おとぎの国」へと迷い込むのか。
うっすらと、今にも消えそうな生命の煌きを宿した、夕日を受けて金色に輝く「蔦」を辿って慣れ親しんだ世界へと帰るのか……。

岐路で佇む、迷子の時間。

ミドルノート「暗い森の中で、リコリスが妖しく香ります」

アイリス(ニオイアヤメ)の茹でた人参と土を混ぜたような、大地の香りのほろりとした澱粉感がゆらゆらとあふれ出し、オリスルートが深みを与えた静かなヴァイオレットの、土っぽいフローラル感がふんわりと広がる。そこに、リコリスの甘くてほろ苦いハーバル感が強く香りたち、チェリーがフルーティーな甘酸っぱさを、アマリリスが桃と薔薇を混ぜたようなロマンチックな華やかさを添えます。

*リコリスのビタースウィートな香りがたまらない、濃密なパウダリー感にフルーティーな「美味しい感」が混ざり始めるミドルノート。

――迷い込んだ、おとぎの国。
先刻よりも濃く、深みを増した霧に閉じ込められ、一歩、また一歩と、森の奥へ進んでいく。

踏みしめる大地の、雨上がりのようにしっとりとした重い土の香りに混じって、どこからか、果物の甘酸っぱい香りが漂ってくる。
たまらなくそれが欲しくなって駆け出すと、あたりの空気がどんどんと、甘く、ほろ苦い表情をはらんで歪みはじめる……。

チェリーの果実に手が届きそうになる頃にはもう、手遅れ。
暗く妖しい、レンピカの世界に取り込まれています。

トップノートのパウダリー感がぐんぐんと濃さを増し、幻想的な雰囲気を高めていくミドルノート。
焼きたてのクッキーがチェリーパイに変わったような、「グルマン(お菓子のような)香水」としての魅力が爆発する、癖になる美味しい香りです。

ラストノート「とろける甘さがつくりだす、いつまでも醒めない夢」

バニラのピュアで愛くるしい香りがふんわりと広がり、トンカビーンが桃の花に桜や杏仁を混ぜたような繊細な芳ばしさを、ベチバーがスモーキーでドライなウッディー感を、ホワイトムスクがパウダリーな甘さを添える。そこに大胆に絡むプラリネが、ナッツ風味の濃厚なチョコ感とクリーミーな感触で全体をまとめ上げます。

*ナッツの芳ばしさが効いた、まったりとしたバニラ&チョコ。プラリネの作り出す滑らかなグルマン感が、リッチで美味しいラストノート。

悪夢じゃないのに、うなされてる。
甘くて美味しいのに、罪悪感にも似た暗さが心を覆って離れない。

トップとミドルを覆っていた苦みが消え、もう歯止めをかけるものは何もない。
どこまでも貪りつくしたいような残酷で我儘な心地が美しい、いけない遊びに溺れていくような香りです。

こんな方におすすめ&香りについて

* ヨーロッパのお菓子のような甘い香りが大好き
* リコリスにはまっている
* スパイシーさとほろ苦さに満ちた、ミステリアスなグルマンの香りを探してる
* 少女の気持ちを忘れない、ロマンチックな乙女でいたい
* 邪悪なおとぎの国のような、ロリータレンピカの世界に溺れたい!

フローラル・フルーティー・グルマン調の、ほろ苦くクリーミーなフレグランス。

グリーン感の混じったパウダリーなアニスが、フルーティーな気配と濃密な澱粉感を纏いながらビタースウィートなリコリスへと深まり、ゆっくりと、芳ばしいプラリネへ溶けていきます。

リコリスの独特な香りを堪能できる、グルマン香水の傑作。

全体的にパウダリーで、濃厚。甘いのだけれど、楽しい甘さではなく、ハーバルで苦味のある、暗くて複雑な甘さ。古くから伝わるレシピで作られた、手作りのお菓子のようなノスタルジックな香りです。

金色のツタがあしらわれた、リンゴ型ボトルの妖しいパープル色が、この「おとぎの国」の邪悪な雰囲気をミステリアスに演出しているのに、そのフォルムはコロンとして可愛らしい。

そして香りは、ビター・スウィート。

アンデルセン童話のブラック・ユーモアのような、ひねりの効いた芸術的なフレグランスです。

ビター・スウィートな、ロリータの世界のまとい方

腰や太ももなどに軽くスプレーするのがおすすめ。低めで服に隠れる位置につけると全身をふんわりカバーしてくれるので、柔らかく香らせることができます。膝裏や肘の内側など、温度の高いところへつけて濃厚に香らせるのも素敵です^^

ミステリアスでクリーミーな甘苦さは、ガーリーな服装にもぴったり。
温かみのある重めの香りなので、冬の空気にとても綺麗に映えます。

香りの成分&いろいろ

<トップノート> ヴァイオレット, アイビー, スターアニス
<ミドルノート> アイリス, アマリリス, リコリス, オリスルート, チェリー
<ラストノート> トンカビーン, バニラ, ベチバー, ホワイトムスク, ヘリオトロープ, プラリネ

1997年発表
調香師 Annick Menardo

ミステリアスなパープル色のリンゴのボトルに惹かれて、高校生の頃に初めてフルボトルで手にした、思い出深いフレグランス。

「ロリータ」という名前とリンゴ型のボトルから、キュートな甘い香りを想像していたのですが、実際はアニスやリコリスのハーバルなほろ苦さが効いた、静けさと暗さを感じる香りで、とても驚いた覚えがあります。

よくある甘いだけのグルマン香水とはひと味もふた味も違う、ミステリアスでストーリー性をもった、ノスタルジックな甘さ。
風の穏やかな晴れた日に、ふと包まれたくなる香りです。

     

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