しりとり香水!ロシャス ファム 緻密なハーモニー

知的に完成された、緻密で繊細な香り。
名香特集第12弾「ロシャスファム」は、アニマル感あふれるフルーティーなシプレ香水です。

絶妙すぎる、魅惑のハーモニーをお楽しみください。

rochas
ロシャス ファム
香調:シプレ・フルーティー <女性用>

トップノート「スイーツと香水の境界線を歩く香り」

プルーン(西洋スモモ)のクラシカルな甘酸っぱさがジューシーにあふれ出し、ピーチ(桃)が淡くソフトなフルーティー感を、アプリコットがフワフワとした果実感を絡める。そして、シナモンが温かみのあるビタースウィート感でアクセントを添え、ブラジリアン・ローズウッドが薔薇ニュアンスの明るいウッディー感(木の香り)で奥行きを出す。その桃系ウッディーな香りに、ベルガモットとレモンがキラキラとしたシトラス感で軽やかさをプラスします。

*美味しそうなプルーンと桃の香り

桃系のほんわりとした優しいフルーティー感にシナモンが効いた、スイーツのように美味しそうなブレンドなのですが、ここで終わらないのが流石の名香。それを支えるように加えられたローズウッドが、なかなかにどっしりとした存在感を放っており、昨今流行りのグルマン系とは一線を画す、香水らしい気品や奥深さを醸し出しています。

ローズウッドは、ローズほど華やか過ぎない、かといって決して重いウッディーでもない、ちょうどシナモンとの親和性が抜群の、独特の軽やかさとしっとりとした大人の表情を併せ持った素材です。

個人的には桃ってフルーツの中でも癖がなく、他の香りと合わせやすいという印象があるのですが、このシナモンと桃という組み合わせは最早「反則っ!」てくらいに最高です。そして更にシナモンとローズウッドのハーモニーが素晴らしい。

このロシャス・ファムは香りのハーモニーが優れていることで有名なのですが、もうトップノートからまさにその美点が全開。

ありそうでない、スイーツと香水との境目に立っているような、絶妙な香りです。

ミドルノート「浮かないスパイシー In フェミニン系フローラル」

クローブのバニラの甘さを含んだような繊細なスパイシー感があふれ出し、カーネーションがそのクローブに似たスパイシーで快活なフローラル感を絡める。そして、イランイランがバナナトーンのエキゾチックな甘さを、ローズ(薔薇)が優雅な華やかさを、ジャスミングリーンニュアンスの華やかさを添える。それらのカッチリとしたフローラルミックスに、ローズマリーがスッと鼻に抜けるシャープなハーバル感で涼やかさを添え、アイリス(アヤメ)が大地の香りのパウダリー感で深みを出します。

*スパイシーでフェミニンなフローラルの香り

クローブのスパイシー感がカーネーションを架け橋にして、濃厚フローラルと繋がっています。
そのため、しっかりスパイシーなのに浮いた感じがしない、とてもまとまった印象に仕上がっています。

また、イランイランをはじめフローラル自体はかなり女性らしく、かつ重めに作られているので、スパイシーさを前面に出している割にツンツンイガイガした感じがないところがポイント。

トップでは「シナモン」を仲介に、桃系フルーティーとローズウッドという油断すると分離してしまいそうな香りのトーンを上手く結び付けており、
ミドルでは「カーネーション」を仲介に、強いスパイシー感とフェミニンなフローラルの、ともすればスパイスが悪目立ちしそうな香りをうまくまとめあげているという、

「しりとり」のように部分的に似たトーンを持つ香りを重ねていき、それぞれのハーモニーを丁寧に組み上げているところが最大の特徴であり、最高の魅力です。

ラストノート「アニマル感あふれる、センシュアルなビター・スウィート」

オークモスの森の地面のような苔むした香りがあふれ出し、レザーがスモーキーでクールなアニマル感を、ベンゾイン(安息香)が温かみのある甘いバルサム(樹脂)感を絡めます。そして、アンバーが酔わせるような甘いオリエンタル感を、バニラが独特の華やかな甘みを、ムスクがクリーンなパウダリー感を添えて深みをだし、パチョリがスパイシーなハーバル感でピリリとしたアクセントを添えます。

*センシュアルなアニマル系オークモスの香り

がっつりオークモスに、まったりレザー&アンバーが効いた、アニマル感を前面に押し出したラストノート。
苦みやスパイシー感、こってりとした甘さが相まって、なんとも野性的な印象です。

こんな方におすすめ&香りについて

* オークモスの苦い香りが欲しい
* アニマル感あふれる濃厚な香りを求めている
* 緻密な香りのハーモニーにひたってみたい
* プルーンや桃、シナモンが好き
* こってりした香りに包まれたい
* 完成度の高い名香に興味津々

⇒極上シプレ・フルーティー

知的に完成された、抜群のハーモニーを持つ緻密で繊細な香り。
といっても、香り方はかなりへヴィーな「香水でごわす!」といったもので、特にラストのアニマル感が最高です。

香水好きにはたまらない、濃厚で奥深い、独特の世界観が楽しめます。

香りの成分&いろいろ

<トップノート> プルーン, ピーチ, アプリコット, シナモン, ブラジリアン・ローズウッド, ベルガモット, レモン
<ミドルノート> クローブ, カーネーション, イランイラン, ローズ, ジャスミン, ローズマリー, アイリス
<ラストノート> オークモス, レザー, ベンゾイン, アンバー, バニラ, ムスク, パチョリ

1943年発表, 調香師 Edmond Roudnitska
* Rochas Femme Rochas *

[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★★☆
[TPO] 春・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

     

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コメント

  1. 茉莉花 より:

    ロシャスファム…。
    香水を知り尽くした者が最後に辿り着く香り。
    私自身、欲しいなぁとは思うものの、EDP濃度が無いのが痛い(~_~;)
    EDPなら、もっと豊かな香り立ちだったろうと想像します。
    私の手持ちにある、ロシャス香水は、『マダム・ロシャス』と、『ミステール』の2つ。
    何方もEDP濃度で所有。
    マダム・ロシャスは、三大名香の一つに数えられている、エルメスの『カレーシュ』を作った調香師、ギィ・ロベール氏の作品。
    アルデハイドの効いた、グリーンフローラルシプレー。
    ミステーは、ロシャスが最盛期だった1970年代の作品で、調香師は、ニコラ・マムーナス氏。
    香りはシプレーアニマリック。
    ランコムの『マギーノワール』や、パコラバンヌの『ラ・ニュイ』と並ぶ、『アダルトうっふん♡三傑』の一つ。
    ロベールピゲの『バンディ』をいやらしく、エッチな感じにしたら、こうなった的な(笑)
    シヴェットとオークモスを軸にした、熱っぽく、フェロモンチックなシプレーノート(笑)
    今迄コレクションした中では、最も挑発的な香り(笑)
    勝負香水にはうってつけ。
    下手なセクシー系香水よりずっとエッチな香りなので、殿方を誑かすには丁度いい(笑)
    間違っても日常的には使えないので、デートや合コンに纏うのがよろしいかと(笑)

    1. リリー より:

      クラシカルな香水から昨今流行りのものまでいろいろ試して私が思うのは、セクシーさにはある程度の複雑さが必要なんじゃないかなってこと。
      いくら素材がセクシーさを感じさせる香りでも、いざ香水として肌から香らせたときには、シンプルな香りだとどこか可愛らしい。何の香りか一瞬判別できないような、ふと香った時にハッとするようなよく練られた香りは、どこかミステリアスな空気もはらんでいて、相手が3割増しに魅力的に感じられるような気がします。
      その点、ロシャスは本当に素晴らしいと感じます。
      直球なセクシー系でなくても、雰囲気のある香り作りが秀逸。
      香り自体がというよりは、情緒的な理由からのセクシーさと若干混じってますが。それでもピュアな香りはやっぱりどこか可愛い。否、それをチョイスして嬉しそうにデートにつけてくるタイプの人が可愛いのか。(笑)
      マギーノワール他、ぜひ試してみます(*’▽’)

  2. 由良 より:

    櫻井翔が身につけている香水という不謹慎な理由で買ってみたのですが

    セクシーで大人の香り。
    これで、30代男性が迫ってきたら・・・。
    すごいですね。

    スパイシーな香りは男性ものというイメージが強いので
    現代に調香されていたら男女兼用と言われていたかもしれない・・・。
    古くからの名香は不思議と頭痛がしないのです。
    頭痛がする香水は消えてしまう・・・。

    1. リリー より:

      由良さん、コメントありがとうございます。
      櫻井翔さんがご使用とのこと、素敵ですね。
      香りにつきまして、由良さんのおっしゃる通り、現代でしたらきっと男女兼用と言われるであろうと私も思います。「スパイシー」という要素に性別が絡められるのは、なんとも興味深いですね。
      古くから愛され続けている名香は、確かに頭痛のするものが少ないと私も感じます。
      現代のもので香料の質にこだわっているものでも稀に頭痛のするものがあるあたり、香りの調合自体にも鍵があるのかもしれませんね。

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