「ローズ」とひとくちに言っても、その表情は様々。
どれを選べばよいのか分からない/迷ってしまった、という方に、この記事はおすすめ。
漠然と「バラの香り」を探す方のイメージに合いやすい、「親しみやすさ」を重視してセレクトした、優しいローズ香水をご紹介します。
クロエやポールスミス等、人気の香りをはじめとする、瑞々しいフルーツや爽やかなグリーンが効いた、柔らかい印象の作品を8つ。
ローズの魅力をそつなく生かした、万人受けしやすい香り達です。
もくじ
クロエ ローズ ド クロエ(清楚系)
『クロエ ローズ ド クロエ』
* Chloe Roses De Chloe *
香調:フローラル <レディース>
エアリーな石鹸系。
愛され度ナンバーワンの、優しい香りです。
2013年発表 * 調香師 Michel Almairac
<トップ> ライチの繊細で淡いトロピカル感がゆったりと広がり、ベルガモットがフルーティーで上品なシトラス感を、タラゴンがスッと鼻に抜けるようなハーバルな甘みを絡めます。
<ミドル> ダマスク・ローズの蜂蜜ニュアンスの甘さの混じった、優雅でクラシカルな香りがあふれ出し、マグノリア(木蓮)がふわっと羽衣をかけるようなシフォンの華やかさを、シダーがマイルドな木々の香りで淑やかさを添えます。
<ラスト> ホワイトムスクのピュアで円やかな甘みがふんわりと漂い、アンバーが高貴で温もりのある、甘い樹脂の香りを絡めます。
*すっきりとした明るいライチの香りが、優雅でロマンチックなローズへと高まり、淡く溶けていくように、澄んだムスクへ落ち着きます。
まるで羽が生えているみたい!
マグノリアのフレッシュ感が効いた石鹸系ローズ・ブーケを中心に、明るくジューシーなライチ、クロエ特有のフェミニンなムスクが、フワッとリボンで結ばれたような、モテ度満点の、軽やかでバランスの良い香りです。
日本人好みの優しい香り立ちはもちろん、女らしさと抜け感、透明感が秀逸。
一緒に居たら癒してくれそうな、オトコが幸せにしてあげたくなる「愛されオーラ」を発する香りです。
[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋 / デイタイム
ポールスミス ローズ(癒し系・緑茶ベース)
『ポールスミス ローズ』
* Paul Smith Rose Paul Smith *
香調:フローラル <レディース>
瑞々しく、柔らかい。
緑茶が香る、明るいグリーン調です。
2007年発表 * 調香師 Antoine Maisondieus
<トップ> ポール・スミス・ローズの瑞々しく立体的な薔薇の香りがあふれ出し、グリーンティー(緑茶)がマイルドですっきりとした青みを絡めます。
<ミドル> ターキッシュ・ローズの紅茶ニュアンスを含んだ爽やかなフローラル感が広がり、マグノリア(木蓮)が品のあるフレッシュな甘さを、バイオレット(ニオイスミレ)がソフトな大地の香りを添えます。
<ラスト> トンカビーンのバニラに杏仁を加えたような繊細な甘さが漂い、シダーが穏やかなウッディー感(木の香り)で深みを出します。
*グリーン調の明るいバラの香りが、ゆっくりと花開くように甘みとフローラル感を強め、フワリと淡いトンカビーンに落ち着きます。
イメージは、朝露に濡れた、薄明のローズガーデン。
『咲き誇るどの薔薇も、まるで水晶の粒を散らしたかのよう。花びら一枚一枚が、光を食べた無数の水の球できらめいて、辺りを包むまだ青みがかった世界に色を付けるよう、甘い、薄紅色の蜜の香を放つ―――。』
そんな、触れれば零れてしまう一瞬の輝きを、ひっそりと呼吸する周囲の植物の気配と共に閉じ込めた、透明感あふれる香り。
グリーン調といってもグリーンティー(緑茶)を基調としているため、青臭さはなく、どこかエアリーで芳ばしいような、心地よい青さ・爽やかさを楽しめます。
また、マグノリアを中心とする癖のないフローラルブーケも適度に効いており、ラストも軽め。
全体を通して、しっかりと「ローズ」を感じられるのに派手すぎない、柔らかいトーンに仕上がっています。
[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋 / デイタイム
フェラガモ シニョリーナ オードトワレ(微グルマン調)
『フェラガモ シニョリーナ オードトワレ』
* Salvatore Ferragamo Signorina Eau de Toilette *
香調:フローラル・フルーティー <レディース>
ほんのり愛らしい。
肌の匂いに溶け込む、優しいミルク&ローズです。
2012年発表 * 調香師 Sophie Labbe, Juliette Karagueuzoglou
<トップ> ライチの淡いトロピカル感がジューシーに広がり、グレープフルーツがすっきりとした、上品な苦みと酸味を絡めます。
<ミドル> ライス・スチーム・エアリアル・ノート(炊き上げたご飯の香り)に包まれて、フルーティーで甘いローズが、そっと顔をのぞかせます。
<ラスト> ミルク・ムースのクリーミーで淡いグルマン・スウィート(お菓子のような、甘く美味しい香り)が漂い、カシュメランがウッディーニュアンスの混じった、しっとりとしたモダン・ムスク感を絡めます。
*瑞々しいライチの香りが、まろやかなローズへと華やぎ、ふわっと溶けていくように、クリーミーなソフト・グルマンに落ち着きます。
「肌につけて、体臭となじませる」という香水独自の魅力が、最大限に活きている作品。
お風呂上りにローズ&バニラ系のボディ・クリームをつけて、2・3時間たった後の肌の残り香のような、驚くほどまろやかな香りです。
ミドルの「ライス」の香りは、日本米のようなモワッとした甘く芳ばしい香りではなく、バスマティライスのような、うどんとビーフン(orフォー)を3対7で混ぜて塩茹でしたような、淡白な澱粉の香り。
グリーンやレモニーなニュアンスが抜けて、フルーティー・フローラルの要素と甘みだけが残ったような、ソフトな「ローズ」の香りを絶妙に包み込んで、肌なじみの良い、ナチュラルでフェミニンな表情を作り上げています。
また、バニラというほどの主張はない、曖昧でミルキーなグルマン感が早くから香りだすので、「フルーティーなローズ」を軸にしつつも、「スウィートで美味しい雰囲気」が全体の印象をホンワリ和らげており、とても可愛いです。(甘さ自体は、控えめであっさり&癖のないトーンです)
「香水よりボディ・クリーム派」という方の、忙しい朝やホッとしたい時にもピッタリな、即効・速乾で「肌をお手入れした後の幸福な余韻」をよみがえらせてくれる、リフレッシュ・アイテムとしても優秀な一本です。
[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏 / デイタイム
エスペシャリー エスカーダ エリクシール(セクシー系)
『エスカーダ エスペシャリー エスカーダ エリクシール』
* Escada Especially Escada Elixir *
香調:オリエンタル・フローラル <レディース>
大胆でグラマラス。
洋梨とプラムが香る、セクシーな香りです。
2012年発表 * 調香師 Jean-Michel Duriez
<トップ> ペアー(西洋ナシ)の洗練された、ほんのりグリーンな林檎ニュアンスの香りに、グレープフルーツがクリアな苦みと酸味を、アンブレット・シード(ムスクマロウ)がシャラッとした明るいムスキー感を絡めます。
<ミドル> ターキッシュ・ローズ・アブソリュートの紅茶ニュアンスの爽やかで芳ばしい薔薇の香りがあふれ出し、フレッシュ・プラム(西洋スモモ)を中心とするフルーティーノートが瑞々しくソフトな甘酸っぱさを、イランイランがエキゾチックで官能的なフローラル感を絡めます。
<ラスト> ホワイト・ムスクとカシミア・ウッド(カシュメラン/合成香料)のしっとりとした深みのある甘い香りが漂い、パチョリがスパイシーなハーバル感で艶を出す。そこに、アンバーがセンシュアルな温もりを、マダガスカル産バニラがまったりとした澄んだ甘さを添えます。
*シトラスニュアンスの明るい西洋梨が、爽やかで甘酸っぱいローズ&プラムへと高まり、ゆっくりと、セクシーなムスキーノートに落ち着きます。
「今が旬よ!」と叫び出しそうなくらい、豊満で、エネルギッシュ。
艶感たっぷりの、エキゾチックなローズ香水です。
エスカーダお得意のキュートな甘酸っぱさを、そのまま大人向けに熟成させたような、まろやかで落ち着いたフルーティー感。
時代を上手くとらえた、ライトでさり気ないムスキーノート。
エスカーダ香水ファンなら誰しも覚えがあるであろう、あの「問答無用でテンションの上がるガーリー感」を、グッとセクシーに、グッと大人っぽくした、すごく「イイ女」な香りです。
(注:そのため、限定シリーズの雰囲気と比較すると、確かに系統自体は同じですが、あの独特のギャル感はないので、限定シリーズと同じノリを期待してはいけません。逆に言うと、年齢的に限定シリーズを卒業したエスカーダ香水ファンには、とてもおすすめ。)
グラマラスな雰囲気を持った香りなので、つけるシチュエーションは選びますが、この系統の香りの中でも意外なほど甘さ控えめで、使いやすさ満点。
男性ウケも抜群です。
[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム
ディプティック ロンブルダンロー(芸術系)
『ディプティック ロンブル ダン ロー』
* Diptyque L’Ombre Dans L’Eau *
香調:フローラル <レディース>
グリーンで瑞々しい。
カシスの葉が独特の表情を添えた、芸術的な香りです。
1983年発表 * 調香師 Serge Kalouguine
<トップ> ブラックカラント・リーフ(カシスの葉)が、ほんのりスパイシーで甘酸っぱい、ベリーニュアンスをまとったグリーン感を広げます。
<ミドル> ブルガリアン・ローズの艶やかでフルーティーな香りが、ゆったりと立ち上がります。
<ラスト> アンバーを中心としたオリエンタルで高貴な甘みが、肌の上に柔らかく残ります。
*カシスの鮮やかなグリーン感の中から、ゆっくりと、フルーティーなローズが浮かび上がり、透明感を保ったまま、アンバーの優しい甘さに溶けていきます。
陽の光が眩しく降り注ぐ、午後の薔薇園。
咲き乱れるどの花も、めいめいに鮮やかな色を発し、漂う蜜の香りは、暖かな空気に満ちる様に、あふれては溶けていく。
水面にはキラキラと光が映り込み、柔らかな風に揺れるその奥、水の中にも、ほのかな明かりが点る。
それは、あたかも其処に花が咲いているかのよう、淡く発光し、波連を編み、ゆらぎの中に一瞬の永遠を描く。
光が、水が、薔薇に恋をし、薔薇の姿を映し、薔薇のフリをする。
その粒子の振る舞いを、人は鏡のようだという。
誰が気にかけるのだろう?
刻々と姿を変え、決して触れることのできない、“水”の見る夢を――。
『L’Ombre=影、Dans L’Eau=水の中』
そんな光と水の作る幻影を気にかけ、その美しさを香りで描いたような、ディプティックのロングセラーを誇る作品です。
カシスの甘酸っぱいフルーティー感をまとった、西洋的なグリーンの香りが全体を覆っていて、そこから時間をかけて、ゆっくりと薔薇の香りが立ち上がってくるトップからミドルにかけての変化が、とても感動的です。
全体の質感はなかなかに涼やかで瑞々しいのだけれど、ウォータリーと表現するには、どこかサラッとしていて繊細。
カシスとその葉のハーモニーは、青さとベリー感を互いに和らげ合っていて、独特の存在感があります。
メインのブルガリアンローズは華美すぎず、爽やかでナチュラル。
バラ香水でネックになるパウダリー感もなく、また、カシス由来のほんのりとしたスパイシー感が、全体の控えめな甘さをよりシャープに、よりスタイリッシュに印象づけています。
自然を丸ごと切り取ったような、グリーン調のローズ香水をイメージする方に、特におすすめ。
香り全体を包む、ほんのりダークな静けさが美しい、芸術的な香りです。
[持続性] ★★★★★ [拡散性] ★★★☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム
ドルチェ&ガッバーナ ローズ ザ ワン(女神系)
『ドルチェ&ガッバーナ ローズ ザ ワン』
* Dolce&Gabbana Rose The One *
香調:フローラル <レディース>
優雅でセンシュアル。
「女神感」抜群の、フルーティーで甘酸っぱい香りです。
2009年発表 * 調香師 Michel Girard
<トップ> ブラックカラント(カシス)のフルーティーな甘酸っぱさがふんわり広がり、ピンクグレープフルーツとマンダリンオレンジが、程よい苦みの混ざった、品のある明るいシトラス感を絡めます。
<ミドル> ブルガリアン・ローズの艶やかでフルーティーな香りがあふれ出し、ライチがジューシーで美味しいトロピカル感を、ピオニーがフレッシュな甘酸っぱさを、リリー・オブ・ザ・ヴァレイ(すずらん)とマドンナリリーがバランスの良い、清潔感あふれるグリーン調の華やかさを添えます。
<ラスト> ムスクとアンブレット・シード(ムスクマロウ/植物由来)のモダンで軽やかな、ソフトなパウダリー感が淡く漂い、バニラが甘美な甘さを、サンダルウッド(白檀)がミルキーでコクのあるウッディーニュアンスを重ねます。
*甘酸っぱいカシス&シトラスが、ジューシーなブルガリアンローズへと高まり、淡いパウダリー感をまといながら、ムスキーなバニラに落ち着きます。
ブラックカラントやピオニー、グレープフルーツが生み出す、健康的な、瑞々しい甘酸っぱさ。
それは、つい気を引きたくなるような、触れてみたくなるような、チリリと男心を焦がす「女らしさ」。
「俺に笑いかけてくれないかな?」なんて自分を見て欲しくなるのは、甘いムスクのせい。
「俺のことどう思ってるのかな?」なんて相手を知りたくなるのは、ロマンチックなローズのせい。
100ほど言い訳並べて、ドキドキしながら誘いたくなる。
それは、胸を締め付けるような、淡い恋心と深い欲望。
その白く清らかな柔肌に触れられるなら、どんなワガママにも応えたくなる――。
そんな、『強い男ほど抗えない女』の魅力を詰め込んだ、センシュアルな香り。
全体を通して、瑞々しさやフルーティーさが効いており、とてもモダン。
ソフトな香り立ちでパウダリー感も程よいので、デートでもオフィスでも、さり気なく女度アップさせたいときに最適です。
また、ラストのバニラが強めに出るところも、明るくてハッピーで素敵。
ブルガリアン・ローズの艶っぽさを支える様に、ホワイトフローラルが適度に健全・清楚な空気を漂わせており、高級薔薇石鹸のような、心地よい清潔感と気品をたたえた印象に仕上がっています。
[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋 / デイタイム・ナイトタイム
武蔵野ワークス ロサブラン(白薔薇をイメージ)
『武蔵野ワークス 和の花 香りシリーズ ロサブラン』
* Musashino Works Floral 4seasons Rose Blanc *
香調:フローラル <ユニセックス>
ピュアでナチュラル。
ホワイトローズ(白薔薇)をイメージした、淡く、たおやかな香りです。
<トップ> ローズ・ブーケの爽やかで繊細な香りがすらっと立ち上がり、イタリア産ベルガモットがアロマティックな苦みと酸味を添えます。
<ミドル> エジプト産ゼラニウムの、バラにレモンを混ぜたような、ハーバルなロージー感があふれ出し、フルーツノートが優しい瑞々しさを絡めます。
<ラスト> ムスクとアイリス(ニオイアヤメ)の淡いパウダリー感がふんわりと広がり、サンダルウッド(白檀)がマイルドで静かな甘さを、モロッコ産アトランティックシダーが心地よい木々の落ち着きを添えます。
*上品で優しいローズの香りが、ハーバル感とフルーティーな甘さをまとって深まり、ほんのりと、甘いムスクが肌に残ります。
ポカポカとした陽の光が差し込む、気持ちの良い午後。
開け放ったベランダから届くのは、乾ききった、真っ白なバスタオルの匂い。
それは、お母さんが気に入りの薔薇の香水を一滴たらした、すこしだけ洒落た、家庭的な洗濯物の香り。
日々を彩る柔らかな愛情が詰まった、懐かしい、幸せな記憶――。
そんな、どこかで嗅いだような、ノスタルジックな香り。
石鹸系の淡いフローラルミックスに、薔薇のオイルをほんの少し加えたような、「気取らないけど、ちょっと贅沢」な控えめな雰囲気と、万人受けする清潔感が魅力です。
また、何ともつかないソフトなフルーティー感がよく効いており、全体的にとても軽め。
ゼラニウムのレモン・ニュアンスも含めると、結構シトラス系の酸味が混ざっており、甘めなムスクと上手くバランスが取れています。
[持続性] ★★☆☆☆ [拡散性] ★☆☆☆
[TPO] 春・夏・秋 / デイタイム
エリーサーブ ル パルファム ローズクチュール(きらきら女子系)
『エリー サーブ ル パルファム ローズ クチュール』
* Elie Saab Le Parfum Rose Couture *
香調:フローラル <レディース>
きらきらしてる!
キャラメルが香る、キャッチーで甘い香水です。
2016年発表 * 調香師 Francis Kurkdjian
<トップ> ローズ・ペタル(薔薇の花びら)の明るくフェミニンな香りに、ピオニーが甘酸っぱさとフレッシュ感を、オレンジブロッサムがクリーンな透明感を絡めます。
<ミドル> ローズ・ブーケのモダンでロマンティックな華やかさが優しく広がり、ジャスミンがすっきりとした淡いグリーン感を、フルーティーノートがまろやかな瑞々しさを、バニラが明るい甘さを重ねます。
<ラスト> パチョリのライトなハーバル感と、キャラメルのクリーミーで洒落たスウィート感がふんわりと漂い、サンダルウッド(白檀)が清らかで甘い、静かなウッディー感でコクを出します。
*石鹸系の淡いローズが、フルーティーな甘さをまとって華やぎ、ふんわりと、美味しそうなスウィート・ノートへ溶けていきます。
スウィート感あふれる、フェミニンなローズ香水。
砂糖の結晶の中に薔薇の花びらを閉じ込めたような、キャンディーのように甘い香りです。
バラを中心に、ピオニーやジャスミン等ホワイトフローラルも効いた、石鹸系の淡いフローラルが軸なので、「ローズの雰囲気は楽しみたいけど、あんまりリアルなのはちょっと…」という方に最適。
また、そこに加わる程よい甘酸っぱさやフルーティー感、パチョリやキャラメルが、ちょうどグルマンとフローラルの間を漂うような、「可愛くて品の良いお嬢さん」な雰囲気を醸し出しており、美麗です。
昨今のグルマン香水の流行から、こういったスウィート&フローラルな香りが多く発表される中で、今回この香りを選んだのは、意外に「本当に使い勝手がいい、いろんな面でバランスが良い」香りは少ないから。
それぞれの香水に、それぞれ異なった魅力やアピールがあり、香り自体を楽しむ分にはどれも素敵でも、いざオフィスやデート等「人にどう思われるか」を過剰に気にするときには、どうしても最大公約数的な、万人受けする要素(=多くの人に嫌われにくい要素)を意識しますよね。
そういった気持ちで香水を選んだときに、私が「現代的なさり気なさ」が秀逸だなあ、と感じたのが、この香水。
(もともとエリーサーブのドレスが好きで、香水ラインにも興味を持ったのですが、ドレスと同様、エリーサーブらしい美的感覚がそのまま香りにも反映されていて、すっかりお気に入りブランドの1つだったりします。)
この「ローズ クチュール」は、オリジナルの「エリーサーブ ル パルファム」のどこかクラシカルな雰囲気とは打って変わった、とてもモダンな香りに仕上がっているのですが、どちらにも共通するのは、「初めてでも違和感がない、既視感(既嗅感?)すら感じる香りなのに、どこか斬新で、決して替えが効かない」ところ。
「まさにオンリーワン」な素晴らしい香りはたくさんあるけれど、こんな「つい必要としてしまう」香りは珍しい。
おそらくはこの香水、ひいてはこの記事にセレクトした香水達には、「ある種の普遍性」が根底に流れているのだと思いますが、それに加えて、「時代を読む力」と、ポピュラー音楽で言うところの「キャッチー」な表現に優れているのだと感じます。
今どきの、と言うとどこか軽々しいですが、自分のスタイルを持ちつつも、同時に時代の空気を楽しんでいるような、生に意欲的な「キャッチー」感。
絶対的な真理も美しいけれど、流動的な社会で生み出されるものに触れて得るそんなエネルギーは、どこか温かく、ふと「日々を生活する」ことの意味を考えてしまうほど、刹那的で、わくわくして、素敵です。
この香水はまだ日本未発売で評価も未知数ですが、もしエリーサーブが本気で日本市場に取り組めば、かなりのヒットが狙えそうな、とてもさり気なく、とてもキャッチーな作品です。
[持続性] ★★☆☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム
万人受けの香り=没個性の香りと認識しているワタクシ(^_^;)
基本的に香水は、『自らの個性をより引き立たせる為のアイテム』というのが私の香水に対する考え方なので、選ぶ香水はクセの強い物が殆んど。
とはいえ、クラシック香水の場合は、『今の人には受けないが、昔は流行った香り』的な物が結構あるので、ある意味で個性を強調し易い。というのは、その手を纏う人が圧倒的に少ないから。
特に日本に於いては。
海外に行けば、普通に『お母さんが付けてた香水』やら、『お婆ちゃんが付けてた香水』を纏ってる人は、ゴロゴロ居ますけどね(笑)
私自身は、個性を大事にしたいので、自分の纏いたい香りを堂々と纏います。
付け過ぎに気を付ければ、どの香りを纏おうとこちらの自由ですし。
個性って、なんだか難しいですよね。
コミュニティーやシチュエーションによっては、没個性=協調性として肯定的に捉えられたり、(肯定的を通り越して強制的だったりもしますが(;´Д`))、それ自体が美徳のような風潮もあったり。
私自身は、茉莉花さんのように個性を大事にする方が好きですし、尊敬しています。
また、それと同時にどこか「みんなと一緒」にも昔からものすごい憧れがあるため、『みんなが好きな(嫌いじゃない)香り』は「どこがどう万人受けする要素があるのか、知りたい!」と熱心に考えたりもしてます。(笑)
クラシック香水、本場は香水が文化として根付いているということを、明確に示すアイテムだなあと憧憬したりします。
他の可能性としては、単に日本のファッション業界が「シャネル」や「ディオール」などの一流ブランドの名前だけで売れる分を売るだけで、香水自体の積極的な世間へのアプローチに熱心に取り組んでこなかったことや、ライ○ンさんをはじめ、直接「香水」でなくとも、国内でのパワーバランスも色々関係あったのかなあ、なんて思います。
「お母さん、おばあちゃんのつけてた」といったイメージになってしまうような、「一過性の流行り」にしかできなかった当時の売り方自体が、根本の問題なのかなあ、とも。
本当、接近して初めてわかる香りくらいは、「それぞれの個性であり、楽しみであり、自由である」と広く認識された方が、みんなハッピーな生き方&共存ができそうなのに。(*´▽`*)