極上すぎるバニラの香りのレディース&メンズ香水16選

人々を魅了してやまない、華やかで独特な甘い香り。

真っ白なアイスクリームに閉じ込められた、涼やかなバニラ。
艶やかな生クリームにとろけた、華やかなバニラ……。

その魅惑的なフレーバーがもたらす唯一無二の幸福感は、いつまでも包まれて居たくなってしまうほど。

今回は、そんなバニラの持ち味を最大限に生かした、高品質な香りを厳選しました。
一流品の奏でる複雑で繊細な、極上バニラの世界をご堪能ください。

*ミルキーなバニラ香水や、お菓子のようなグルマン系バニラをお探しの方はこちら、牛乳(バニラミルク)の香り&乳臭い匂いになれる香水15選の記事もおすすめです。

ジバンシイ パイ(爽やかで優しいハーバル系)

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ジバンシイ パイ
* Givenchy Pi *
香調:オリエンタル・ウッディー <メンズ>

柔らかくてお洒落な、ハーバル系バニラの香り。
女性にも男性にもオススメの、優秀なバニラ香水です。

1998年発表 * 調香師 Alberto Morillas

<トップ> マンダリン・オレンジの甘いジューシー感があふれ出し、バジルがピリリとしたスパイシー感を、タラゴンがスッとしたアロマティックな甘みを、ローズマリーがシャープでノスタルジックなハーバル感を絡めます。

<ミドル> アニスのスッと鼻に抜けるようなビタースウィート感がゆったり広がり、ネロリ(ビターオレンジの花から採れる精油)がシトラス風味の明るいフローラル感を、ゼラニウムがレモンとローズを混ぜたようなシュワッとした華やかさを、リリー・オブ・ザ・ヴァレイ(すずらん)が清潔感あふれるグリーン感を添えます。

<ラスト> バニラのとろけるような華やかな甘みがあふれ出し、アーモンドがジューシーで芳ばしいナッツ感を、ベンゾイン(安息香)が温かで繊細なバルサム(樹脂)の甘みを絡める。そして、トンカビーンが桃の花や杏仁を混ぜたような複雑なビタースウィート感を添え、シダーがまったりした甘さの中にスパイシーさを秘めた、情熱的なウッディー感(木の香り)で深みを出します。


*ハーバルなオレンジのジューシー感が、華やかさをまとったビタースウィートなアニスへと高まり、ゆっくりと、繊細で芳ばしいバニラにとろけていきます。

メンズ向け香水ですが、レディースでも全然OKな甘くて柔らかい香り。
女性でも愛用者の多い、とてもお洒落なバニラ香水です。

タラゴンやアニスの、スッと鼻に抜けるようなハーバル感が特徴のトップとミドルのビタースウィート感が、ラストのピュアなバニラの甘さへとろけていく香りの変化が、とても繊細で素敵。

全体を通して、ハーブのシュッとした爽やか感が活きていて、また、しっかりとしたバニラなのに、複雑な芳ばしさやナッツ感が甘みを柔らかく広げているため、ふんわり軽やかで優しい香りに仕上がっています。

バニラ好きさんはもちろん、これからバニラに挑戦したいという方にもオススメの、爽やかさと柔らかさを併せ持った、ほど良い甘みのハーバル系バニラ香水です。


[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

コントワールシュドパシフィック バニラエクストリーム(ホットミルク香水)

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コントワール シュド パシフィック バニラ エクストリーム
* Comptoir Sud Pacifique Vanille Extreme Eau de Toilette *
香調:オリエンタル・バニラ <レディース>

ミルクとバニラの黄金コンビ。
とろけるような幸せに満ちた、ピュアすぎる香りです。

2005年発表 * 調香師 Jacques Lions

<トップ> バニラの明るい華やかさに、シュガー(砂糖)がピュアで愛くるしい甘さを、ヘリオトロープが霞がかったアーモンドのような芳ばしさを絡めます。

<ミドル&ラスト> とろけるようなバニラの甘さがあふれだし、ミルク(牛乳)が温かくてクリーミーな香りで深みを出します。

*コトコト煮込んだ、最高のホットミルク香水。
キャラメルになる直前のピュアさと濃厚なミルク感・バニラ感にあふれた、甘い幸せを詰め込んだ作品です。

幼い頃に飲んだママのホットミルクを思い出すような、ポカポカしてふっくらした、ぎゅっと抱きしめてくれるような甘さ。
とけたバニラアイスや生クリームに似た、濃厚なミルキー感。

グルマン系バニラの真骨頂ともいえる、最高にハッピーな香りです。


[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

サンタマリアノヴェッラバニラ(セクシーなチョコ香水)

vaniglia
サンタ マリア ノヴェッラ バニラ
* Santa Maria Novella Vaniglia *
香調:オリエンタル・バニラ <ユニセックス>

スイーツ系の、セクシーなバニラチョコ香水。
スモーキーな質感とホットなスパイシー感が魅力です。

<シングル> バニラのとろけるような華やかな甘さがあふれ出し、スパイスミックスがピリリとしたアロマティックな辛みを、カカオがまったりとした深みのあるビター感を絡めます。

*大人の魅力全開の、最高にセクシーなバニラ香水。
グルマン系の「美味しい感」を前面に出しつつ、躍動感あふれるスパイシー感が香水としての魅力や完成度を高めた、遊び心あふれる作品です。

甘さは控えめ。スモーキーな質感が特徴で、肌なじみ抜群。
バニラチョコアイスを溶かしたような曖昧な輪郭の中心で、カラリとしたスパイスの温かさが独特の存在感を醸し出しています。


[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

アトリエコロン バニラインセンス(神秘的なウッディ系)

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アトリエ コロン バニラ インセンス
* Atelier Cologne Vanille Insensee *
香調:ウッディー <ユニセックス>

ドライでウッディー、脈打つような熱い色気をたたえた香り。
輝くような神秘的なバニラが魅力です。

2011年発表

<トップ> ライムのシャープな酸味がエアリーに広がり、シトロン(シトラスの先祖)が香り高いナチュラルな柑橘感を、コリアンダーがスッと鼻に抜けるようなオレンジニュアンスのスパイシー感を絡めます。

<ミドル> ベチバーのスモーキーなウッディー感(木の香り)がふんわりと広がり、オークモスが森の地面のような苔むした苦みを、ジャスミンがセンシュアルなグリーンニュアンスの華やかさを添えます。

<ラスト> バニラの神秘的な甘さが明るく広がり、オークがドライでビターなウッディー感を、アンバーが温かみのある豪奢なアニマル感を絡めます。

*アロマティックなシトラスが、ほのかに苦いウッディーへと高まり、ふんわりと静かなバニラに落ち着きます。

酸味、苦みを経てたどり着くバニラが神々しい、香りの移り変わりが美しい作品。
全体を貫く乾いた質感が個々の素材をふわっと持ち上げるように作用していて、まるでストイックな横顔に見え隠れする熱い色欲を覗き見るような、官能的な魅力にあふれた香水です。

ユニセックスですが、かなり男性的。ウッディーな香りの旅の終わりに、西方浄土のように輝くバニラがそっと迎え入れてくれるような、瞑想的で神秘的な香りです。


[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

アニックグタール ヴァニーユエキスキーズ(絶妙で繊細)

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アニック グタール ヴァニーユ エキスキーズ
* Annick Goutal Vanille Exquise *
香調:オリエンタル・バニラ <レディース>

絶妙すぎる繊細なバニラ香水。
肌馴染みの良い、まろい優しさが魅力です。

2004年発表 * 調香師 Isabelle Doyen, Camille Goutal

<シングル> バニラの華やかな明るさがキラキラと広がり、アーモンドがほんのりビターな優しいナッツ感を、グアヤクウッドとサンダルウッド(白檀)が異国情緒あふれる滑らかなウッデイー感を絡める。そして、アンジェリカが大地を感じさせるスパイシー感で香りを活気づけ、ムスクが甘いパウダリー感で全体を包み込みます。

*繊細なウッディー系バニラの香り。

バニラを中心に据え、まわりをアニックグタールらしい複雑なニュアンスで彩った、何とも形容しがたい、バランス感とエキゾチック感が魅力の作品。

「exquisite」は「非常に美しい, 絶妙な」といった意味なのですが、まさにそのネーミング通りの不思議で繊細な香りです。
アニックグタールファンなら問答無用で好きになれる、飽きの来ないバニラ香水です。


[持続性] ★★☆☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

モリナール ヴァニーユパチョリ(キャラメル香水)

molinard
モリナール ヴァニーユ パチョリ
* Molinard Les Orientaux: Vanille Patchouli *
香調:オリエンタル・ウッディ <ユニセックス>

センシュアルなグルマン系。
期待を裏切らないバニラキャラメル香水です。

<トップ> バニラのとろけるような明るい甘さとキャラメルのクリーミーでセンシュアルなほろ苦さがあふれだし、オレンジがほんのりジューシーな質感を添えます。

<ミドル> パチョリのオリエンタルで力強いハーバル感がゆったり広がり、クローブがバニラ系の甘い辛味を、ペッパーがキリリと締まったホットなスパイシー感を絡めます。

<ラスト> サンダルウッド(白檀)のミルキーなウッディー感(木の香り)と、ムスクのパウダリーな甘さがほんわり残ります。

*甘いバニラキャラメルが、スパイシーなパチョリへと高まり、ふんわりと優しいウッディに落ち着きます。

スパイシーで美味しそうな、愛らしいグルマン系。
キャラメルとバニラのハーモニーの素晴らしさは言うまでもなく、パチョリやスパイスが香水としてのキレや完成度をグッと高めた、夢中になれる香りです。

男性にも女性にも似合う、文句なしに美しい、センシュアルなバニラキャラメル香水です。


[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

トムフォードプライベートブレンド タバコバニラ(甘やかにけぶる、コク深い香り)

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トムフォード プライベートブレンド タバコバニラ
* Tom Ford Private Blend Tobacco Vanille *
香調:オリエンタル・スパイシー <ユニセックス>

タバコの独特な甘みが癖になる、スモーキーな香り。
エキゾチックなビター・スウィートが魅力です。

2007年発表

<トップ> タバコのリッチで温かみのある甘さがスモーキーに漂い、スパイシー・ノートがエキゾチックな刺激で、香りを活気付けます。

<ミドル> バニラの華やかな甘さに、トンカビーンが同系統の複雑さと芳ばしさを絡め、カカオがクリーミーなビター感で深みを出します。そして、干草と革を合わせたようなタバコ・ブロッサムの香りが、乾いた質感を演出します。

<ラスト> ドライフルーツの濃縮した甘酸っぱさがエアリーに広がり、ウッディ・ノートが力強いハーバルさで香りを落ち着けます。

*タバコのスパイシーな甘みがコク深いバニラへと広がり、乾いた質感を保ったまま、まろやかなフルーティーに解れていきます。

エアリーな香り立ちにこだわった、ビター・スウィートでエキゾチックな香り。
「スパイシーなタバコ→ほろ苦いバニラ→こってりフルーツ」という柔らかく膨らんでいく趣の異なった甘さが、一貫したドライなトーンで繋がっていて、とても洗練された空気を作り上げています。

リッチなバニラフレーバーのタバコをほろ苦く、フルーティーにした感じ。アダルティーで洒落た雰囲気によく似合います。

ユニセックスとありますが、これを男性がつけるのは、かなりの色男さんでなければ難しそう。
女性の方は、トップノートのタバコの香りがお好きなら、珍しいスモーキーなバニラが楽しめるのでかなりオススメ。

力強くエアリーに広がる香水なので、腰よりも低い位置に、様子を見ながら少しずつつけてみて下さい.


[持続性] ★★★★★ [拡散性] ★★★★
[TPO] 秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

モンタル シプレヴァニーユ(前衛的な甘いお香)

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モンターレ パリ シプレ ヴァニーユ
* Montale Chypre Vanille *
香調:オリエンタル・バニラ <ユニセックス>

シプレの世界に可憐なバニラが迷い込んだ、ドキドキする香水。
調香師の腕が光る、とても完成度の高い香りです。

調香師 Pierre Montale.

<トップ> チベット・カイラス山ローズ(薔薇)のロマンチックな華やかさがゆったりと広がります。

<ミドル> バニラの独特の明るい甘さがあふれだし、インセンス(お香)がバルサム(樹脂)の爽やかなハーバル感を、アンバーグリス(竜涎香)が豪奢で酔わせるようなセクシーなアニマル感を絡めます。

<ラスト> アイリス(ニオイアヤメ)の茹でた人参と土を混ぜたようなシャープなパウダリー感が広がり、ベチバーがスモーキーで力強いウッディー感(木の香り)を、サンダルウッド(白檀)がミルキーでまろいオリエンタル感を、トンカビーンが桜の葉に杏仁を混ぜたような繊細な芳ばしさを絡めます。


*華やかな薔薇が、アニマリックなバニラ&お香へと高まり、ゆっくりと、パウダリーなウッディーに落ち着きます。

シプレの渋さやオリエンタル感・パウダリー感に、不思議なほどぴったりとはまったバニラが超絶愛くるしい香り。
インドのお香のような正統派の側面を持ちつつ、西洋的な明るさやシャープさをまとい、更にホワッと可愛らしいバニラを融合させた、ユニークな意欲作です。

オオカミの群れの中に子羊が迷い込んだような危うさを醸し出しつつ、仲良く手に手を取り合いラインダンスを踊っているような絶妙なバランスを感じさせる、ゾワゾワ&ほっこり感が最高。

香水上級者さんに是非とも楽しんでいただきたい、独創的で前衛的な香水です。

[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★★☆
[TPO] 春・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

コントワールシュドパシフィック バニラアブリコット(激甘ふわふわ香水)

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コントワール シュド パシフィック バニラ アブリコット
* Comptoir Sud Pacifique Vanille Abricot *
香調:オリエンタル・バニラ <レディース>

フルーティーなバニラキャンディーの香り。
ピュアで可愛い、ウキウキする香水です。

1993年発表

<トップ&ミドル> アプリコットの桃をエアリーにしたような柔らかなフルーティー感が広がり、パパイヤとジャックフルーツがほんのりバナナニュアンスのトロピカルなフレッシュ感を添えます。

<ラスト> バニラの華やかな甘さがあふれ出し、シュガー(砂糖)がピュアで強い甘みを絡めます。

*外国のバニラキャンディーの香り。

これでもかと甘く作られた、美味しさと楽しさにみちた作品。
かなり可愛いらしい、お菓子をギュッと絞ったような香りです。


[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

クリード サブリンヴァニール(繊細に深まっていく、愛くるしいばにら)

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クリード ロイヤル エクスクルーシブ サブリン ヴァニール
* Creed Royal Exclusives Sublime Vanille *
香調:オリエンタル・バニラ <ユニセックス>

淡さと儚さを感じる、まろやかな香り。
バニラのもつピュアな魅力が、繊細すぎる展開によって引き出されています。

2009年発表 * 調香師 Olivier Creed Sixth Generation

<トップ> バニラの華やかで繊細な香りが溢れるように広がり、オーキッド(蘭)が清楚なパウダリー感で深みを添えます。

<ミドル> バニラに杏仁や桃の葉を加えたような、複雑な芳ばしさをもつトンカビーンが、香りを甘く引き込んでいきます。

<ラスト> レモンのキリリとした明るい酸味に、ベルガモットがアロマティックな苦味を絡める。その淡く爽やかなシトラスの香りを、ムスクが濃厚な甘さで包み込みます。


*バニラの甘さが、ゆっくり、とろけるように芳ばしさと複雑さを帯びてゆき、気づけばシトラスの儚げなムスクに包まれています。

柔らかなパウダリー感が全体を貫いていて、まろやかな質感と、羽のような軽やかさが心地よい香り。

華やかさを強調したバニラが段々と複雑に表情を深める…、トップからミドルへの移り方がとても繊細で美しいです。その甘さとパウダリーさが濃くなるラストは、ムスクに包まれて角の取れた、ノスタルジックなレモンの酸味がキラキラしています。

肌に溶け込んでいくように優しく深まっていくバニラが、何とも愛くるしい感じ。
ゆっくりと、それと気づかないほどの穏やかさでクレッシェンドをかけていく甘さが、雪の結晶が溶けていくときの儚さに似ています。

ふわふわの雲の上に寝転んでいるような、甘い浮遊感を味わえますよ^^


このフレグランスは、産業革命が起こり始めた1760年のイギリス、ロンドンで創業したクリードが、その生誕250年を祝い立ち上げた「ロイヤル エクスクルッシブ コレクション(Creed Royal Exclusives line)」のうちの一つ。なんとハンドメイド!

原材料のこだわり様も凄まじく、オーキッドは南国タヒチの鮮やかなものを、バニラは南アメリカのリッチで深みのあるものを、レモンはd-リモネンがより多く含まれていてリフレッシュ効果の高い、カラブリアンレモンを。ムスクは貴重な麝香を贅沢に使用しています。

1760年といえば、7年戦争の真っ只中。イギリスは「お百姓王ジョージ3世」率いるハノーヴァー朝、フランスは「最愛王ルイ15世」率いるブルボン朝、日本は徳川家治率いる江戸幕府。

クラシック音楽では、J.ハイドン、M.クレメンティ、W.A.モーツァルトらの宮廷音楽が花開き、
絵画ではロココ様式のもと、ヴァトーやブーシェ、フラナゴールが活躍。
科学分野では、「解析力学」のJ.L.ラグランジュ、「天体力学概論」のP.S.ラプラスが、微分積分学を物理学分野に応用した大変HOTな時代!

Creed創設者、ジェームズ・クリードはカスタムテーラー。中でも良い香りのレザー手袋で有名だったそうです。

創業から21年後の1781年、国王ジョージ3世の命を受け製作した香水「ロイヤル イングリッシュ レザー(Royal English Leather)」にてフレグランス・メーカーとしての名をあげ、後1885年にはヴィクトリア女王から「英国王室御用達」の栄誉を授かっています。

伝統を守り、高い品質を誇り続けるクリードならではの、考え抜かれた絶妙な調合が、こだわり抜かれた最高の原材料と丁寧なハンドメイドによって、美しく花開いた香り。

ピュアすぎて、ゾクゾクするほど鮮烈です。


[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

マンセラ ローゼスヴァニーユ(透明感あふれる薔薇系ビューティー)

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マンセラ ローゼス ヴァニーユ
* Mancera Roses Vanille *
香調:オリエンタル・バニラ <レディース>

レモン、ローズ、バニラが一つずつ、丁寧に香っていきます。
素材の良さを生かした澄んだ調合と、あっさりとした甘さが魅力の、フェミニンな香りです。

2011年発表
<トップ> ウォーター・ノートのフレッシュネスな瑞々しさに支えられ、凛としたレモンの酸味がきらきらと弾けます。

<ミドル> うっとりするようなローズの贅沢な香りに、シュガーがピュアな甘さを絡めます。

<ラスト> バニラの澄んだ香りがふんわりと広がり、シュガーとホワイトムスクがセンシュアルな深みを出す。そしてシダーがストイックなウッディ感で全体を落ち着けます。

*レモンの明るいシトラス感がスウィートなローズへと華やぎ、深まる甘みの中で、バニラがセンシュアルに広がります。

それぞれの素材の魅力が存分に引き出された、透明感あふれる香り。

レモンにローズにバニラ。このピュアすぎるゴールデン・トリオを支える、瑞々しい質感とシュガーの淡白な甘み。儚いほどの静かさで、一つ一つが丁寧に香っていきます。

数あるローズ&バニラの中でも透明感がずば抜けていて、しっかりとバニラが香るところが魅力。
誰にでも好かれるような王道の組み合わせで、派手さも控えめ。あっさりとした普遍的な香りで、毎日使っても飽きの来ない優秀フレグランスです。

どんなシーンにも、また、どの年代の女性にも似合うピュアで上質な香り。ローズとムスクがとてもフェミニンです。
肌なじみも大変良いので、服に隠れる場所につけて、全身をふんわりカバーさせるまとい方が素敵です。

バニラアイスに薔薇の花びらを散らして、レモンをぎゅっとひと絞り。
甘いひと時を瞬間凍結させたようなフレグランスです^^

[持続性] ★★★★★ [拡散性] ★★★★
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

ミカレフ ヴァニーユキュイール(レザー香水)

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マーティン ミカレフ アートコレクション ヴァニーユ キュイール
* M. Micallef Vanille Cuir *
香調:レザー <レディース>

アーティスティックで不思議なレザー&バニラ香水。
とてもマニアックです。

2012年発表 * 調香師 Jean-Claude Astier

<トップ> ラベンダーのクリーンなハーバル感がゆったりと広がり、ミントが涼やかでペッパーなグリーン感を、ベルガモットが苦くて酸っぱいシトラス感を絡めます。

<ミドル> シナモンの暖かなビタースウィート感がふんわり広がり、キャラウェイ(姫ウイキョウ)がシャープで甘いスパイシー感を、オレンジブロッサムがフレッシュで明るい華やかさを添えます。

<ラスト> バニラの独特な甘さと、スウェード(子牛やヤギの革)のソフトなアニマル感があふれ出し、トンカビーンが桃の葉に杏仁を混ぜたような繊細な芳ばしさを絡める。そして、シダーとサンダルウッド(白檀)がオリエンタルでミルキーなウッディー感(木の香り)で深みを出します。

*爽やかなハーバル感が、スッと抜けるようなビタースウィートへと高まり、ふんわりと、甘いバニラ&レザーに着地します。

レザーとバニラが仲良くしてる、粋でフェミニンな香り。
アーティスティックで攻めの姿勢を崩さない、森でイノシシやクマと出会ったらきっとこんな気持ちがする香水。

基本的にメンズライクなレザーなのに、そこにかなり甘いバニラが突っ込んでいっている、ハーレーに厳つい大男とロリータが一緒にまたがっているような、なんとも不思議な香り。

香水が好きでたまらない方や、バイク乗り、レザーを愛している人にひっそり薦めたい作品です。


[持続性] ★★☆☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

ヴァニラ フルールデタヒチ(温かいイランイラン)

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ヴァニラ フルール デ タヒチ
* La Maison de la Vanille Fleurie de Tahiti *
香調:オリエンタル・フローラル <レディース>

旅に出たくなる、まったりした温かな香り。
イランイランがいい味だしてます。

<トップ> アンバーの温かみのあるオリエンタルなアニマル感に、ベルガモットが苦くて酸っぱいシトラス感を絡めます。

<ミドル> イランイランの濃厚で甘い、ほんのりバナナトーンのセンシュアルな香りがゆったりと広がります。

<ラスト> バニラの華やかな甘さに、トンカビーンが繊細な芳ばしさを絡める。そして、ベンゾイン(安息香)とインセンス(お香)が温かみのある優しいバルサム(樹脂)の香りを、シダーがウッディー感(木の香り)で深みを出します。

*アニマル感あふれる明るい甘さが、センシュアルなイランイランへと高まり、ゆったりと、バルサミックなバニラに落ち着きます。

タヒチの暖かな陽光と開放的な心、まったりと流れる時間を描いたような、伸び伸びとした絵画的な香水。
トップからラストまで、ぬくぬくしていてセクシーです。

この「La Maison de la Vanille」というハウスはその名のとおりバニラをベースにした、異国の地にインスパイアされた香りを発表しており、どれもとても魅力的。他の4つのラインナップを簡単に紹介すると、

・Vanille Givree de Antilles(オランダ領アンティル):パチョリやオポナックス(ミルラ)のスパイシーでオリエンタルな香り。
・Vanille Sauvage de Madagascar(マダガスカル):ラベンダーやインセンス、ウッディーの香り。
・Vanille Divine des Tropiques(熱帯):ガーデニアやジャスミン、チュベローズのフローラル系の香り。
・Vanille Noire du Mexique(メキシコ):オポナックスやローズ、ジャスミンのエキゾチックで華やかな香り。

どれも情緒的で、しっかりバニラが香ります。

[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / ナイトタイム

アゴニスト バニラマーブル(ミルキートロピカル香水)

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アゴニスト バニラ マーブル
* Agonist Vanilla Marble *
香調:オリエンタル・バニラ <ユニセックス>

バニラがいっぱいに広がる中で、ティアレフラワーとイチジクが立ち上がってきます。
滑らかな質感が美しい、とてもセンシュアルな香りです。

<トップ> バニラのピュアな華やかさに、ティアレフラワーがタヒチのトロピカル感を絡め、アーモンドがソフトなナッツ感でコクを出します。

<ミドル> フィグ(いちじく)のビター・グリーンな果実の香りがミルキーに広がり、オーキッド(らん)が清楚な甘さを絡める。そしてアンバーが温かなアニマルノート、パチョリがスッと鼻に抜けるようなスパイシーさで香りを活気付けます。

<ラスト> ベンゾインが繊細な温かみを絡めたバニラが、濃厚に広がる。そこにトンカビーンが芳ばしさを、サンダルウッドがミルキーなウッディ感で全体を落ち着けます。

*トロピカルな華やかさがセンシュアルなイチジクへと熟していき、ラストはゆっくりとミルキーなバニラにとろけていきます。

最初から最後までずっとバニラが柔らかく漂っていて、そこに様々なニュアンスが絡みます。一貫したミルキーな質感がとても美しく、セクシー。

南国や地中海を感じさせる花とフルーツが美しい、しっとりとしたバニラの香りです。


[持続性] ★★★★☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

アブソウルデヴァニール(バイオリンの音色が似合う退廃的な香り)

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アブソウル デ ヴァニール
* Absolu de Vanille La Maison de la Vanille *
香調:オリエンタル・バニラ <ユニセックス>

バニラとバルサムの奏でる、芸術的すぎる魅惑のハーモニー。
アブナイお薬よりも危ない、デカダンな香り。

<トップ> 澄み切ったバニラの華やかな甘さが、スッとたなびく雲のように広がります。

<ミドル> パチョリのスパイシーなハーバル感が力強く立ち上がり、ベンゾイン(安息香)が温かな、オポポナックス(スウィートミルラ)がエキゾチックなバルサム(樹脂)の甘さを絡めます。

<ラスト> バニラ・アブソリュートが濃厚にあふれだし、トンカビーンが繊細さと芳ばしさを添えます。そして、ラブダナム(シスタス)がレザーにも似た淡いパウダリー感で、全体を包み込みます。

*澄んだバニラがスパイシーなバルサム(樹脂)へ溶け出し、ゆったりと漂う樹脂の深みの中で、濃厚なバニラが立ち上がります。

これはとても凄い!バニラとバルサムの魅力が相互補完、しかも指数関数的な増幅具合で魅惑のハーモニーを作り出しています。

しかも、このバルサムが何とも凝った香りで、バニラに寄り添ってホロホロっと顔を覗かせるところが、まるでバイオリンを弾いてるときの松脂の匂いみたいで、もうたまらないです。

ギョームのこってりした松脂でビバルディを弾いた後に、アルシェの高純度の松脂でクライスラーを弾く感じ。

気だるげで退廃的なバルサムの、ひっそりとした“気配”にも似た甘さに、バニラが享楽的な華やかさを絡める……。
快楽の虜になってしまったかのような、デカダンな美しさに溺れているみたいな香り。

ミドルのバルサムをゆっくりとバニラが征服していく感触が、とても耽美的で、とても妖しい。

この香りに包まれていると、過去も現在も、未来さえ、全部どうでも好くなる感じ。
朽ちていく幽玄の時の中で、気が触れるまでバイオリンを奏でていたい欲求に駆られます。

鴨居玲の絵の引きずり込まれそうな暗いグリーン色と、ルソーの絵の妙に訴え掛けてくる真っ黒い目のような、居心地が良いのか悪いのか分からない、不安に愉悦が混ざりこんだみたいな心地。

感覚がざわつく、とても芸術的な香りです。


[持続性] ★★★★★ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

イルプロフーモ ヴァニーユブルボン(淡くて儚いフラワリー系)

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イル プロフーモ ヴァニーユ ブルボン
* Il Profvmo Osmo Scents Vanille Bourbon *
香調:オリエンタル・スパイシー <ユニセックス>

甘く清楚なフラワー・ノートが、豪奢なバニラにとろけてゆきます。
上質なアンバーグリスが、とてもリッチでセンシュアルです。

調香師 Silvana Casoli
<トップ> レモンブロッサムのピリッとしたシトラス風味のフローラルが、エアリーに広がります。

<ミドル> タヒチアン・トロピカルなティアレフラワーの香りに、オーキッド(蘭)がクリーンなパウダリー感を絡め、ヘリオトロープが全体を霞がかった様な淡いナッティ感でまとめ上げます。

<ラスト> ピュアなバニラの香りがあふれるように広がり、パリサンダーローズウッドがソフトなウッディ感を、アンバーグリス(竜涎香)が豪奢なアニマルノートで深みを出します。

*柔らかなシトラスがパウダリーな花の甘さへと溶け出し、ラストは贅沢なバニラに包まれます。

淡く、儚くつくられた、フラワリーなバニラの香り。
全体的にとても軽やかで、ミドルの清楚な花々が澄んだバニラに移っていく時間が、うっとりするほど優しいです。

拡散性も程よいので、体温の高いところにふんわりとつけてみて下さい。


[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム

     

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コメント

  1. ゆかり より:

    使ったことのない香水が沢山紹介されていて、香りを想像しながらいつも楽しく読んでいます。ロリータレンピカの記事を読みたいのですが、読めなくなっています。
    とても興味があるので、ぜひ読めるようにして頂けると嬉しいです。

    1. リリー より:

      ゆかりさん、コメント有り難うございます。
      ロリータレンピカの記事、カテゴリーと記事のアドレスが重複していたため、読めなくなってしまっていたようです。
      お知らせいただき、本当に有り難うございます。
      アドレスの修正&記事の加筆をしました。
      http://kosuijoho.com/lolita-lempicka-perfume-review
      ロリータレンピカの魅力を少しでもお伝え出来ましたら幸いです。

  2. 茉莉花 より:

    最近、手にしたバニラ物で、ディオールの『Addict』は結構良いですよ(^皿^)♪
    ディオールのカウンターで、この香りをムエットに吹き付けて貰ったのですが、妖しげなヴァニラ香にウットリ♡
    プアゾンもムエットに吹き付けて貰いましたけど、Addictの魅力には敵いませんでした(笑)
    思わずカバンのポケットティッシュの入っているポケットにそのムエットを突っ込んでいました(笑)
    ティッシュを使う時に、Addictの香りがしてまたウットリ♡
    その香りが忘れられず、ネットフリマで買っちゃった(笑)
    最初手にしたのは、2014年に、フランソワ・ドゥマシー師が調香した三代目ヴァージョン。
    元々は、ゲランの調香師、ティエリー・ワッサー師が2002年がゲランに移籍する前に作った作品。
    初代と三代目では、香りが違います。
    三代目の方は、香りが大人しめで、使われている香料の種類が少ないのが特徴。
    一方、初代は、拡散性が高く、派手な香り立ちで、沢山の香料が使われています。
    (初代)
    トップ:マンダリンリーフ、ブラックベリー
    ミドル:オレンジブロッサム、ナイトブルーミング・セレウス、ローズ、ジャスミン
    ラスト:サンダルウッド、トンカビーン、ヴァニラ
    (三代目)
    トップ:マンダリンリーフ、オレンジブロッサム
    ミドル:ジャスミン
    ラスト:バーボンヴァニラ
    ナイトブルーミング・セレウスというのは、日本語で言うところの『月下美人』。
    初代は既に廃盤で、現在流通しているのは、三代目。

    1. リリー より:

      ディオールの夜向けウットリ系バニラは罪深いですね(*´▽`*)
      あれはもう普通のバニラとは別に「ディオールバニラ」なんて名前がついてもむしろ親切なくらい、濃厚で妖しい、独特の世界を持つ香り。
      Addictも、時代に合わせて細やかに改良しているのですね。
      私は現行のものしか知らないのですが、改良に改良を重ね、時代と共に大切に受け継がれてきた香りだと思うと、勇気がもらえる&学ぶところが更に見えて来そうです♡
      また、いつかは四代目に移っていったりするのかなぁと思うと、なんだか途端に感慨深くもなります。
      月下美人、名前付けた人ってば本当に風流!&初代の派手バージョンも素敵そうですね。
      私もフリマ等で探してみます(*’▽’)

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