完璧すぎるシトラスが、爽やかなハーバル・フローラルへと高まり、駆け足でストイックなネロリ・ウッディーに滑り込んだと思ったら、ササッと飛び去っていく、まるで忍者のような潔いコロン。
ドイツ・ケルンの水とも呼ばれる、200年以上の伝統をもつ「4711」は、ただ者じゃない俊足シトラス。
名香特集第6弾の今回は、そんな世界中で愛される「4711 オリジナル オーデコロン」の忍者っぽい魅力をとことん語ります。
「こんな香水はじめて!!」そう、恋しちゃいそうな香水です。
4711 オリジナル オーデコロン
香調:シトラス・アロマティック <ユニセックス/男女共用>
もくじ
トップノート「美しすぎる、パーフェクト・シトラス」
レモンのキリリとした明るい酸味がパアアッと広がり、ベルガモットがアロマティックでフルーティーなほんのり苦いシトラスニュアンスを、オレンジオイルがジューシーで甘いフレッシュな質感を絡める。そして、バジルが生き生きとしたスパイシーなハーバル感でアクセントを添え、ピーチが柔らかいフルーツ感で全体を優しくまとめ上げます。
*明るく爽やかな、カンペキシトラスの香り
酸味、苦み、甘み、どれをとっても絶妙としか言いようのない、とても美しい柑橘ミックス。
そこにホンワリと混じるバジルのピリリとした風味が、程よいグリーン感でシトラスの明るさを引き締めていて、うるさくない、かといって静かすぎない、シュッとした印象に仕上がっています。
涼やかに洗練された、まさに、ミスターorミス・パーフェクトなトップノートです。
ミドルノート「中性的フローラルの決定版!」
ラベンダーのアロマティックでクリーンな甘さがあふれ出し、ローズマリーがスッと鼻に抜けるようなシャープでノスタルジックなハーバル感を絡ませる。その力強いハーブの香りを支えるように、ジャスミンの草の葉のような独特のグリーン・フローラルがふんわり広がり、リリー(ゆり)がスパイシーですべすべした爽やかな華やかさを絡める。そして、シクラメンが明るくクリーンなニュアンスを、ブルガリアンローズがリッチでエレガントなニュアンスを添え、メロンがフレッシュなフルーティー感でまろやかさを出します。
*グリーンニュアンスの、サッパリとしたハーバル・フローラルの香り
華やかなのですが、フローラルフローラルしていない、とてもバランスの良い爽やか系ミックス。
ラベンダー&ローズマリーのハーバル感を除けば、他の個々の花の存在はあまり主張しておらず、全体のニュアンスとして、グリーンフローラル系にバランスをとりつつ、清潔感や軽やかさを重視した感じです。
決してフェミニンではなく、かといって無理矢理メンズっぽく仕上げたような感じでもない、とても自然で中性的なフローラルノート。
ラストノート「終わりは駆け足!立つ鳥跡を濁さずな忍者ネロリ・ウッディー」
ネロリ(ビターオレンジの花から採れる精油)の明るいシトラスニュアンスの、クリアなフローラル感がゆったりとあふれ出す。その明るい柑橘フローラルを支えるように、シダーがほんのりスパイシーで甘いエネルギッシュなウッディー感をふんわり広げ、タヒチアンベチバーがスモーキーなニュアンスを、サンダルウッド(白檀)がソフトな質感を添える。そして、オークモスが高級インクのようなシャープな苦みで深みを出し、パチョリがスパイシーなハーバル感で香りを引き締め、ムスクが清潔感あふれる甘いパウダリー感で全体をそっと包み込みます。
*ストイックなネロリ・ウッディー(木々)の香り
このコロン自体の香りの飛びの速さも手伝って、非常にシュシュッとした印象のラストノート。
甘さ控えめで、柔らかだけどしっかりと深みのあるウッディー感と、明るいネロリのシトラス感が、静かに肌の上に残ります。
トップやミドルの爽やかさ、軽やかさを綺麗に引き継ぎササッと落ち着け、あれっと思ったらもういなくなっている、忍者のようにお仕事上手な香りです。
こんな方におすすめ&香りについて
* パーフェクトなシトラス系のコロンを探している
* 忍者を求めている
* 軽い付け心地の、万人受けする優秀コロンが欲しい
* 爽やか・明るい・清潔感!!!
* 香りの変化の美しさを堪能したい
* バランス感重視の、完成度の高い名香に興味津々
⇒極上シトラス・アロマティック
完璧すぎるシトラスが、爽やかなハーバル系フローラルへと高まり、駆け足でストイックなネロリ・ウッディーに滑り込んだと思ったら、ササッと飛び去っていきます。
これぞ、香りの忍者!
これほどトップ・ミドル・ラストという香りの変化を綺麗にこなし、ササッといなくなるやつは他にいません。
個々の香りの仕上がりももちろん素晴らしいのですが、この香水の一番の特徴は、まさに、その香りの変化の美しさです。
全体を通しての印象は「スッキリ・爽やか・明るい」という一貫したトーンを保ちつつ、
トップではシトラスの酸味やキラキラ感、ミドルでは優しい華やか感、ラストでは落ち着いたウッディー感といった、まさに香水のド王道を突っ走るのですが、完成度が段違いに素晴らしい。
やりすぎず、かといって主張はしっかりと通し、また、どいつもこいつも個々の存在は主張せずにニュアンスだけをフワッと印象付け、そしてササッとバトンリレーをして、ラストを程よく香らせたら、「任務完了!!!」とばかりにスッといなくなる、「忍者か!!」ってツッコミたくなる香水です。
ド王道なのに個性的な、忍者系ミスターorミス・パーフェクト。
こんな潔い生き方をしたいものです。
この香水の付け方のポイント
拡散性(香りの広がり)や持続性(香りの持ち)共に軽やかな、忍者のような俊足コロンなので、ウエストや太もももちろん、肘や手首の内側、胸元、どこにつけても綺麗に香ります。汗をかく場所だけは避け(においが混じって予期せぬ変化をしてしまうため)、体温の高い場所(太い血管の通っているところ)につけてみてください。
お肌の上で、忍者がササッと仕事をしていきます。
香りの成分&いろいろ
<トップノート> レモン, ベルガモット, オレンジオイル, バジル, ピーチ
<ミドルノート> ジャスミン, リリー, シクラメン, ブルガリアンローズ, メロン
<ラストノート> シダー, サンダルウッド, タヒチアンベチバー, オークモス, パチョリ, ムスク
1792年発表, 調香師 Wilhelm Muelhens
* 4711 Original Eau de Cologne Maurer & Wirtz *
[持続性] ★☆☆☆☆ [拡散性] ★☆☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム