天使か悪魔かって、たいてい「天使の皮を被った悪魔」のことを指しますよね・・・
凄まじい香りに出会ってしまいました!(いろんな意味で)
強力なオリエンタルさで無垢とセンシュアルの二面性を表現したという「ジバンシー アンジュデモン」は、流石フランスの誇る一流ブランドらしい、なんとも攻撃的かつアーティスティックな香りです。
ハーバルな神聖さをまとった甘くフレッシュなトップが、ガラッと濃厚で官能的な香りへと変化し、最後はどえらいウッディーさで鎮座するフレグランス。
こういう楽しい作品があるから、香水フリークはやめられません^^
ジバンシー アンジュ デモン
香調:オリエンタル・フローラル <レディース>
もくじ
トップノート「教会の庭のハーバルでフレッシュな香りを、天使の羽が運んでくる」
太陽の日差しをふんだんに浴びたマンダリン・オレンジが、甘くフレッシュなきらめきを広げ、シャープなホワイト・クミンのスパイシーさとサフランの乾いたほろ苦さが、香りに霞みをかけるように立ち上がる。そこへタイムのハーバルなストイック感が神聖さを添え、全体を優しく包みこみます。
*サワサワと乾いた手触りのような、風の強い日の雲の動きを見るような感覚。嗅覚というより痛覚のような、鋭いスパイシーさが柑橘のジューシーさとマッチした、宗教画のような美しい香りです。
ミドルノート「ぎゃあ!突如、悪魔がおそいかかってくる」
蝋のようなふっくらした香りのリリー(ゆり)がスパイシーに走り出し、マキシラリア・オーキッド(らん)が清楚なパウダリー感でその足を引っ掛けて転ばせます。そして、とどめといわんばかりに、イランイランが濃厚で官能的な甘さのベタベタした粘着質の褥をつくり、リリーとオーキッドを引き止め続けます。
*びっくりする変化のミドルノート。
トップノートが霞のように消えていくのを蹴飛ばすかのように、ガツーンと強烈にリリーが香って、それを奇妙な感じにオーキッドが広げて、おまけにイランイランがもったりと粘着質な質感にしてるんです。
悪意すら感じる香りの暴力。まさに悪夢。
ラストノート「もう勘弁してください。ものすごい香りです」
薔薇に似たリッチフローラルテイストがもはや煩いブラジリアン・ローズウッドのウッディーさと、オークモス・アブソリュートの苔むした泥臭さが手を繋いで踊っています。
しかも踊りながら、何かお菓子を食べています。芳ばしいトンカ・ビーンのほろ苦さと、独特なバニラの香りが、奇妙な感じに甘さを添えています。
*すごいです!もう、すっごい。
どうしちゃったの?どこまで頑張っちゃうの??って感じです。どろどろとした香り。凄まじい。音に例えるなら「ギョエェェェェー!」。ドとレとミのフラットとシのフラットを、ペダル踏みっぱで鳴らしてる感じ。
煮過ぎた鍋のような、ラストノートです。
こんな方におすすめ&香りについて
* チャレンジャー
* 物好き
* 香りに殴られたい
* 悪夢のような香りにうなされたい
悪趣味さがたまらない^^
香水が好きで好きでたまらない人が、ひっそり楽しむために存在してるかのようなフレグランス。
ボトルが際立って美しいことと、作り手の意思を強く感じる、奇妙な香り。
こういう作品がなければ香水にはまることはなかっただろうと、しみじみ思います。
香りの成分&いろいろ
<トップノート> マンダリン・オレンジ, ホワイト・クミン, サフラン, タイム
<ミドルノート> リリー, マキシラリア・オーキッド, イランイラン
<ラストノート> トンカ・ビーン, バニラ, ブラジリアン・ローズウッド, オークモス・アブソリュート
2006年発表
調香: Jean-Pierre Bethouart, Olivier Cresp
ボトルデザイン:セルジュ・マンソー
凄まじい、悪趣味さがたまらないフレグランス。
とても重くて持続性の高い香りなので、つける時はとーっても注意しましょう。
散々な表現をしましたが、大好きな香りです。
夜中にひっそりつけて、ホラー映画や宇宙物理学を楽しむときの素敵な相棒です。
何かが物足りない、ミステリアスな刺激が欲しいときに、手が伸びる香りです^^
リリーさんのこの香水のレビューを読んでたら、無性に欲しくなり、ネットフリマで探して買っちゃいました(笑)
纏ってみたら、妖しい香りの魅力に取り付かれ、予備の買い置きしちゃった(笑)
良いですわ〜(笑)こういう妖しい香り(笑)
これを纏って出勤したツワモノです(笑)
私的には、オピウムの代理人的なポジションです(笑)
因みに、悪魔という言葉を嫌う国に販売する為、『Étrange(異邦人)』に置き換えたヴァージョンが売られてるそう。
この妖しい香りをまとって出勤とは!(笑)
でも何だかんだかなり綺麗に仕上げられている&香りの質自体がとても良いため、雰囲気に似合ってしまえば、案外真昼間のオフィスでも素敵そうですね(*´▽`*)
「異邦人」!初めて知りました&そういう方向で置き換えるんですね。
というか、むしろそれはそれでもう一本香水作ってほしいくらい、良いネーミング。
トップはがっつりマリン系で、ミドルは陽気で甘い香り、それがどこか寂し気なウッディー系に落ち着くような香りにそんな名前がついていたら、たぶん一生使い続けます(笑)
異邦人なので、爽やかなマリン系よりも、異国情緒溢れる、スパイシーオリエンタルの方がネーミング的にピッタリ来るかと。
あとは、オリエンタルシプレーか。
トップは、ドライフルーツと、スパイス。ミドルは、イランイランや、チュベルーズといった、南国の濃厚な香りの花々、ラストは、ウード、ヴェティヴァー、アンバー、パチュリ、ムスク、シヴェット、オークモス、サンダルウッドといった感じ。
レザーや、スエード、タバコを加えても良い。
私的にはコッチの方が『異邦人』っぽくて良いなーと思ってます(笑)
そういう異邦人も素敵ですね。
特にドライフルーツや南国の花々、ウード等、とても美人さんな香りになりそう(*´▽`*)
私はどちらかというと異邦人という言葉には「よそ者」的な響きを感じるので、魅惑的な要素と切ない要素が混ざった感じをイメージします。
マリン系って確かに爽やか系が多いですが、潮風を思い起こすような塩気が強い香りは、なんだか切ない気分になります(笑)
海の思い出からそう感じるのかもしれませんが、例えば去年か一昨年の限定の、「ドルチェ&ガッバーナ ライトブルー スイミング イン リパリ」は「塩&アンバーグリス」というような潔い香りで、マリン系にありがちな爽やかさとはひと味違った、びゅんびゅん潮風に吹かれているような、海で泳いだ後のような、なんともいえない心地がして、お気に入りです。