グリーンニュアンスの暖かなフローラルが、ハキハキした上品なイランイランへと高まり、ゆっくりと、優しいミルキーウッディーに落ち着いていく、緻密に計算された、上品で明るいフレグランス。
その時代を感じさせない優しい香りは、まさに普遍的で、名香と呼ばれるに相応しい作品です。
名香特集第5弾は、「キャロン フルール ド ロカイユ」の「エレガント感」がどこからくるのかを探るべく、香りを徹底レビューしました。
「美人」を印象づける足し算引き算が学べる、テクニカルな名香です。
キャロン フルール ド ロカイユ
香調:フローラル・アルデヒド <レディース>
もくじ
トップノート「あったか美人系ハーモニー」
アルデヒド(アルデハイド)の独特の暖かな華やかさがポワンポワンと広がり、ローズ(薔薇)がララララランッて歌うみたいな明るい華やかさを絡める。そして、ライラック(紫丁香花)がミツバチの花粉にも似た涼やかな甘さをそよそよと絡め、ジャスミンが草の葉にも似た、楚々としたグリーン・フローラル感をローズの3度下くらいの音程でハモリます。
*グリーン系の華やかさをブーストしたアルデヒドの香り
エレガントでフェミニンなフローラルです。
アルデヒドの柔らかい感じが前面に出ており、また、フローラルのニュアンスはグリーン系の爽やかな感じがキレイに立ち上がります。
まさに美人系の、優しくて楚々としたトップノートです。
ミドルノート「ウインクされたときの衝撃とときめきに似た香り」
カーネーションのクローブにも似た快活なスパイシー感がシュバババババっと広がり、イランイランがモッタリとしたバナナトーンの滑らかな甘いフローラル感を絡める。そして、リリー・オブ・ザ・ヴァレイ(すずらん)が清潔感あふれるグリーンニュアンスの華やかさをシュワシュワと巻き付け、バイオレット(ニオイスミレ)が大地の香りのパウダリー感で全体に深みを出します。
*スパイシーで甘い、エキゾチックなフローラルの香り
イランイランがけっこうガッツリ出てるのに、ハキハキとした明るい上品な印象に仕上がっています。
ちなみに「ときめき」は英語で「spark joy」と言うんだそうな。
初めて聞いたとき、やっと日本語の「ときめき」の意味が分かった気がしました…!スパークジョイ!!
ラストノート「控えめで優しい、ミルキーウッディー」
サンダルウッド(白檀)のミルキーなウッディー感(木の香り)がフニャフニャと広がり、バージニアシダーがスモーキーなニュアンスで歯切れを良くします。そして、オークモスがモンブランのインクのような凛とした苦みで深みを出し、ムスクがクリーンなパウダリー感で全体に甘いヴェールをかけます。
*優しいウッディー&ムスクの香り
ミドルの滑らかな甘さがスッと落ち着いていく、夢のあとのような綺麗なラストノート。
オークモスの苦みがけっこう効いていて、引き締まった、エレガントな印象に仕上がっています。
こんな方におすすめ&香りについて
* エレガント系イランイランの香水を探している
* 美人っぽい雰囲気の香りがを求めている
* アルデヒドだけどスパイシー系フローラルな香りに興味深々
* クラシカルで上品なフレグランスが欲しい
* ラストノートはスッキリとしたウッディー系が好き
* ハーモニーがキレイな、そつのない香りを探している
⇒美人系、上品なフローラル・アルデヒド
グリーンニュアンスの暖かなフローラルが、ハキハキした上品なイランイランへと高まり、ゆっくりと、優しいミルキーウッディーに落ち着いていきます。
アルデヒド入りながらも明るいエレガント系にまとめられている、比較的扱いやすい名香。
クラシカルなかっちりとした香水らしさを感じさせつつも、グリーン感やスパイシー感、ビター感の取り入れ方が絶妙で、1934年に発表されたとは思いえないほど、現代的な軽やかな印象を受けます。
普遍的、とはこういった香りのことを言うのでしょう。
アルデヒドやイランイランなど、軸となる主張をはっきりと感じさせながらも、緻密に計算された調合によって、くどくない、絶妙なバランスの明るさや清潔感を保っている感じです。
名香、といった仰々しさはないのに、名香としか言いようのない、非常に完成されたフレグランスです。
この香水のまとい方のポイント
拡散性(香りの広がり)や持続性も程よい、くどくなく明るい香りなので、ウエストや太ももや膝裏はもちろん、肘の内側などに少量つけても綺麗に香ります。フォーマルでもオフィスでもデートでも、カメレオンのように馴染んでくれる優秀な名香です。
香りの成分&いろいろ
<トップノート> アルデヒド, ローズ, ライラック, ジャスミン
<ミドルノート> カーネーション, イランイラン, リリー・オブ・ザ・ヴァレイ, バイオレット
<ラストノート> サンダルウッド, バージニアシダー, オークモス, ムスク
1934年発表, 調香師 Ernest Daltroff
* Fleurs de Rocaille Caron *
[持続性] ★★★☆☆ [拡散性] ★★☆☆
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム
『女性は一生に一度は愛用する』とフランスでは言われている、正統派香水メゾン、キャロン。
調香師である、エルネスト・ダルトロフが立ち上げたメゾンで、キャロンというブランド名は、マダムキャロンが経営していた香水店『キャロン』の名前を彼が買い取り、冠したのだそうです。
私自身は、キャロンの香水で所持しているのは、『パルファン・サクレ』と『アンフィニ』の2つ。
取り分け、パルファン・サクレは、私にとっては特別な存在。
パルファン・サクレとは、『聖なる香り』という意味。
この香水は、ネットのフリーマーケットで手にしたのですが、偶然にも届いた日が私の誕生日でした。
私の誕生日は、洗礼者聖ヨハネの誕生日(6/24)。
イエス・キリストの来臨を予言した先駆者で、聖母マリアの従姉妹、エリザベートの子。
イエス・キリストとは、再従兄弟の関係です。
そんな洗礼者聖ヨハネは、キリスト教に於いては、とても重要な存在。彼の存在の重要性を証明したのが、イエス・キリスト。イエスは、彼についてこの様に発言しています。『大凡の女より生まれたる預言者の内、洗礼者ヨハネ程の偉大なる者はなし。』と。
聖書の中では彼の名が度々登場する事から、その重要性が窺えます。
カトリックに於いては、聖人の祝日が設けられているのですが、多くの聖人は、天国に召された日。この世に生まれた日を祝日とする聖人は、洗礼者聖ヨハネと、聖母マリア、イエス・キリストの三人だけ。
その三人の内の一人、洗礼者聖ヨハネの誕生日に私は生まれました。
そんな神聖な日に届いた、キャロンの『聖なる香り』。
きっと神様が巡り合わせてくれたんだろうなと私は思ってます。
この香水は、自分の誕生日の時と、クリスマスの時だけ纏ってます。
オリエンタル香水ですが、とても厳かで、ピーンと張り詰めた、清浄な香りがします。
オリエンタル香水は、色っぽさがウリですが、このサクレは、そういった感じではなくて、大聖堂の祭壇の前で跪き、祈りを捧げている様な雰囲気。
トップに軽くシトラスが香った後、聖堂の厳かな空気を表現する様に、カルダモンやシナモン、クローヴが香り、祭壇に飾られた花を表現する様に、ジャスミン、ローズ、ミモザが香る。
最後は、ミルラ、サンダルウッド、ムスク、フランキンセンスが、神聖な空間を表現するが如く香ります。
1990年に誕生した香水ですが、ナルシスノワールやニュイドノエルと並ぶ、キャロンのオリエンタル香水の傑作として語り継がれています(^^)
厳かで神聖な香り、是非お試しになってみては?
神聖な、特別な香り。
運命的な出会いもさることながら、纏う日を決めることによって、その感動や香りを更に特別なものにしていく…。読みながら思わず、うっとりしてしまいました(*´▽`*)
私はもう長い間どのイベントも忙しさや日常に埋もれてしまっているのですが、素敵な日を作るのも、特別な香りを作るのも、アイデアと自分次第なんだな~、と、しみじみ反省、、&特に祝い事は大切にしていきたいと改めて感じました。
小学校低学年の頃、週に一回放課後に参加していた、学校の米国人英会話教師の主催する「お話の会」や、合唱の授業の聖歌でしか聖書の世界に触れたことはないのですが、生や死、行ないの善悪や人との関わりを見つめる姿勢に、「こんな風に世界を認識できたら、とても素敵だろうなあ」と憧れていたのを思い出します。建築や絵画を通して、長らく美の象徴のようにも感じていました。
洗礼者聖ヨハネの誕生日に生まれ、その意味を大切に日々を生きる…、羨ましいです。
アロマテラピーも含めて清浄や瞑想がテーマのものはかなり試しているのですが、キャロンは素敵な香りが多すぎて『パルファン・サクレ』はノーマークでした。ぜひチェックしてみます。(*’▽’)