ロベールピゲ フラカ をミュージカル風にレビュー

これ以上なく華やかに作りこまれた、ホワイトフローラルの王道にして最高傑作。
そんな賛辞の似合うピケの魅力はなんといっても、一夜の舞台のような力強い香りの展開でしょう。

名香特集第4弾の今回は、「ロベール・ピゲ フラカ」の香りの世界をミュージカルに例えてご紹介します。

ライザ・ミネリもびっくりの、ド派手濃厚フローラルをお楽しみください。

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ロベール・ピゲ フラカ
香調:フローラル <レディース>

トップノート「始まりまっせ!さあさあ座って!」ってあれよあれよという間に幕が開いちゃったときの気分

ピーチ(桃)のフワフワとした甘いフルーティー感があふれ出し、オレンジブロッサムがクリーンなフレッシュ感を、ヒヤシンスが深みのあるオイリーなグリーン感を絡める。そして、グリーンリーフが爽やかな青々しさで香りに奥行きをだし、マンダリンオレンジが甘いジューシー感を、ベルガモットが苦みと酸味のアロマティックなシトラス感を添えます。

*フルーティーでグリーンなお花の香り

桃の柔らかいフルーツ感がパアアッと広がるその真ん中に、ドドンッとグリーン感が座っていて、その周りをクルクルとお花のシュワシュワ感が取り巻いている感じ。

勢いがあって愛想のよい、みごとなイントロダクションです。続く展開が楽しみになる、舞台の幕あけのようなフレッシュ感に満ちたトップノート。

ミドルノート「ものすごくテンションが高い、アリア歌いながらサンバ踊っているような香り」

チュベローズ(月下香)のエキゾチックでクリーミーな香りがあふれ出し、ガーデニア(くちなし)が旨味のある甘さを、オスマンサス(金木犀)が熟したフルーツのようなニュアンスを絡めます。そして、ナルキッソス(水仙)がグリーンで瞑想的なフローラル感を、リリー・オブ・ザ・ヴァレイ(すずらん)が清潔感なふれるグリーンな華やかさを添え、カーネーションがピリッとしたスパイシーなアクセントを加える。

そして、それらの多彩なニュアンスのフローラルに、ホワイト・アイリスとバイオレットが園芸用の土のような香りのパウダリー感で奥行きをだし、コリアンダーがスッと鼻に抜けるようなオレンジニュアンスのスパイス感を、ローズとローズゼラニウムが明るい華やかさを添えます。

*グリーンニュアンスの、複雑で繊細なホワイトフローラル

かなり濃厚で甘いです。すごく丁寧に構成された香りはテクニカルでアリアっぽいのに、全体のノリと印象はサンバのごとく情熱にあふれており、だけど踊る場所はブロードウェイの舞台なんですみたいな感じ。ライザ・ミネリもびっくりの、盛りだくさんなミドルノートです。

ラストノート「山あり谷あり、なんだかんだと希望あふれる感動のフィナーレ」

サンダルウッド(白檀)のミルキーでオリエンタルなウッディー感(木の香り)に、シダーがほんのりスパイシーで甘いニュアンスを、ベチバーがスモーキーで重いニュアンス添えます。そして、ムスクが清潔感あふれる深いパウダリー感を、アンバーが豪奢で濃厚なアニマル感を、オークモスが大地の雄大な苦みを絡めます。

*エネルギッシュな分厚い木の香り

「演出の腕か脚本の妙かはたまたノリで押し切ったか。一度は収拾がつくのか疑問に思えたほど盛りだくさんだったテーマが、けっこうな時間をかけて、しかし確実に、フィナーレに近づいていった。寸分の狂いもなく立ち回る役者たちは、一体どれだけの訓練をつんで舞台にあがり、一体どれだけの回数、同じ言葉を発し、同じ動きをし、同じ曲を歌ってきたのだろう。そうしみじみと思わずにいられないほど、まだるっこしくも、これ以上なく完成されたストーリーだった。小さな小さな、しかし世界の、否、人生の全てを詰め込んだかのように白く輝く舞台が、ぽっかりと、静まり返った暗闇に浮かぶのは、まさに夢のような光景であった……。」

「だけど、だけど!終わりが待ち遠しかったよ!!わーい!!!」

って嬉し涙流しながらパチパチ拍手しまくって、アンコールは抜け出して全速力でコーヒー飲みに行きたくなるような感じ。

つまり、とってもとっても完成度が高くて嗅ぎごたえのある香りなんだけど、その完成度ゆえの安心感からくるほんのりとしたマンネリ感と、品質の良さからくる香りの持ちと広がりのヘビーな感じにちょっぴり疲れちゃうんだけど、香り自体は本当にホントウに文句なしに素敵だよ!って香水です。

まさに、これぞプロフェッショナルな名香です。

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こんな方におすすめ&香りについて

* チュベローズや金木犀など、濃厚なフローラルが好き
* 完成度の高い、がっつりフローラルな香水が欲しい
* なんだかんだいっても、古典作品の心地よさは別格だと思う
* 派手でロマンチックな、これぞ名香ってフレグランスに興味津々
* ライザ・ミネリみたいなスキャンダラスな生き方はある意味風流だと思う
* 超絶フォーマルな香水を探している

⇒完成度の高い、とっても濃厚フローラル

フルーティーなフローラルが、グリーンでコッテリしたフローラルへと高まり、ゆっくりと、超絶ゆっくりと、分厚い木の香りに落ち着いていきます。

これ以上なく華やかに作りこまれた、盛りだくさんでド派手な名香。
ホワイトフローラルの王道にして最高傑作。なんともスキャンダラスな印象の香りです。

様々なニュアンスが折り重なりながらも、常にある種の媚びを含んだような艶めいた香り立ちをするのが特徴で、
トップからミドル、ラストへの変化は、まるで一本の舞台でも見ているような、丁寧で緻密な展開を楽しめます。

この香水のつけ方のポイント

とても濃厚で拡散性が高いので、太ももや膝裏、足首に、ほんのり少量つけるのがおすすめ。くれぐれも慎重に、様子を見ながらつけましょう。また、ドレスなどのフォーマルなシーンにとても似合います。気合いをいれたい!というときにもばっちりです。

香りの成分&いろいろ

<トップノート> ピーチ, オレンジブロッサム, ヒヤシンス, グリーンリーフ, マンダリンオレンジ, ベルガモット
<ミドルノート> チュベローズ, ガーデニア, オスマンサス, ナルキッソス, リリー・オブ・ザ・ヴァレイ, カーネーション, ホワイトアイリス, バイオレット・ルート, コリアンダー, ローズ, ローズゼラニウム
<ラストノート> サンダルウッド, シダー, ムスク, アンバー, オークモス, ベチバー

1948年発表, 調香師 Germaine Cellier
* Fracas Robert Piguet *

[持続性] ★★★★★ [拡散性] ★★★★
[TPO] 春・夏・秋・冬 / デイタイム・ナイトタイム
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コメント

  1. 茉莉花 より:

    ロベール・ピゲの作品は、『VISA』と『Baghari』の2つを所持しています。
    現在流通しているロベール・ピゲの香水は、復刻版で、調香は、ジャン・ギシャール師の息子であり、復刻王と名高い、オーレリアン・ギシャール師によるもの。
    オーレリアン師は、『ジヴォーダン社』の敷地内にある、父ジャン師が校長を務める調香師学校の卒業生でもあります。
    シャネルの三代目調香師、ジャック・ポルジュ師や、ゲランの五代目、ティエリー・ワッサー師、エルメスの専属調香師、ジャン・クロード・エレナ師もこの学校の卒業生。
    毎年千人単位で、入学希望者が集まりますが、入れるのは、たったの5人だけという、超難関名門校で、入れたとしても、500種類以上もの香料の名前を諳んじる事、往年の名香を自分の鼻を頼りに忠実に再現する事が求められるので、脱落者が多いそうです。
    どうしてこれだけ厳しいかというと、ジャン師は、質の高い香水を作る事に拘った結果。未来の調香師には、良い物を作って欲しいという強い想いからでもあります。
    息子オーレリアン師が復刻王と称されるのは、オーレリアン師の再現技術の高さにあります。
    特にロベール・ピゲでの活躍は目覚ましい物があり、クラシックコレクションとして復刻する際、オーレリアン師を起用。
    一旦廃番となっていた。数々の名香達を丁寧に復刻させ、オリジナルとほぼ遜色のない仕上がりになっている点は注目に値するものがあります。
    中でも、Baghariは、クラシックコレクションの中では、極めて復元の完成度が高い事で知られ、復刻版とは分からない程の仕上がりで高い評価を得ています。
    Baghariのオリジナルは、アルデヒドマスターの異名を持つ巨匠、フランシス・ファブロン師。フランシス師は、ニナリッチ不朽の名作『L’Air du Temps』を作った調香師で有名。
    Baghariの特徴としては、過積載アルデヒドに、フルーツや花の香りが煌びやかに舞う香りが特徴。
    クラシックコレクションの内、VISAは特殊で、こちらは、オマージュ作品として出したもの。
    オリジナルのVISAは、ジェルメーヌ・セリエ師ですが、オリジナルがレザーシプレーだったのに対して、オーレリアン師のヴァージョンは、捻りの効いたフルーティシプレ。
    ジェルメーヌ師の調香をベースにオーレリアン師のアレンジが少し加えられた形。
    オマージュ作品ではありますが、良く出来た作品に仕上がっています(^^)♪

    1. リリー より:

      『VISA』、とても好きな香りです(*´▽`*)
      何気なく「復刻なのね~」くらいにしか思っていなかったのですが、
      茉莉花さんのお話を聞くと、香水を復刻するということは、本や雑貨なんかの復刻とは次元が違う難しさなのだと、改めて感心します。
      それにしても500種類以上の香料の組み合わせって、ものすごいバリエーション!
      昔何かの記事で、完成が近くなってくると、ほんのわずかな違いの試作品をいくつも作って、それらを何日もかけて選ぶのだと読んだのですが、名香の再現もしかり、そういった本当に微妙な違いをコントロールして最良の物を作るとは、いったいどんな作業なのかと、考え出すと宇宙論並に眠れなくなりそうな天文学感にとらわれます(笑)
      調香自体もさることながら、ジャン師のような哲学を持った人のもとで学ぶというのは、それ自体がとても素晴らしい経験なのだろうなあと、羨ましくも思います。
      『Baghari』の調香師さんが『L’Air du Temps』を作った方だとは、知りませんでした。
      香りがあまり記憶にないので、再現の大変さに思いを馳せつつ、併せて改めて嗅いでみます(*’▽’)

  2. 茉莉花 より:

    オーレリアン師の父、ジャン師は、キャシャレルのロングセラー、『アナイス・アナイス』に続く傑作『Lou Lou(1987年)』と『Eden(1994年)』を作っています。
    他には、カルヴァン・クラインで、三大調香師の一人であり、現在、ルイ・ヴィトンの専属調香師として活躍している、ジャック・キャバリエ師と一緒に、『OBSESSION』を1985年に作り、その翌年には、モンタナで『Parfum de Peau』を手掛けています。

    1. リリー より:

      『Lou Lou』と『Eden』ですか!
      どちらも心の柔らかいところがワクワクするような、おとぎ話や妖精を信じたくなるようなロマンティックさが大好きなのですが、やはりああいった香りを作るような人は、学校を作ってしまうような深い哲学や信念を持っているのかなあ、なんて、ときめきます(*´▽`*)
      『OBSESSION』、改めて嗅いでみます。

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